半導体用語集

自己組織化量子ドット

英語表記:self-organized quantum dot

 格子定数差の大きいヘテロ構造を成長させると、臨界膜厚を超えたところで成長モードが通常の二次元的な平坦な成長から、三次元成長に変化する。このような成長様式をStranski-Kras­tanow(S-K)成長モードという。たとえばGaAs(001)面上のInAsは約二原子層の平坦な濡れ層の上に島状の構造が成長する。このS-K成長モードによる島状構造をドット(「量子ドット」の項参照)に使おうとするのが自己組織化量子ドットである。島状構造はMBE成長でもMOCVD成長でもえられ、いっさいのリソグラフィプロセスなしに結晶成長のみで自然に量子ドットが形成されるため活発に研究が行われている。一般に密度10¹⁰~10¹²cm⁻²のドット構造が全面に形成されるため、高密度のドットを必要とするレーザなど、光学デバイスヘの応用が盛んに研究されており、レーザ発振、零次元特性に対応すると思われる高い特性温度T₀が報告されている。結晶成長のモードは成長条件(基板の面指数、成長温度、Ⅲ/V比)などに大きな影響を受け同じ島状構造でも様々な形が報告されている。たとえばGaAs(311)B面上では格子歪の影響で島状に成長したInGaAsを下地のAlGaAsが移動して取り囲むような成長が生じ、ドットというより平坦なディスク状の構造が成長する。また、GaAs(111)A面を用いると、界面の転位で格子定数差がすべて緩和され歪のないInAs層が二次元成長し、島状構造はできない。最近ではドットの上に次のドットを積層するような結合積層ドット構造の成長も可能になり注目を集めている。自己組織化量子ドットは量子ドットデバイスに向けた大変有望な技術であるが、ドットの形成が自然まかせであるためドットの組成、均一性をいかに向上するか、ドット構造と周囲を囲む半導体の界面特性をいかに良好に保つかの課題がある。最近では成長条件の最適化とともにリソグラフィ技術との併用なども検討されている。

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