半導体用語集

誘起歪

英語表記:distortion

X線マスクの製造工程中に誘起されるマスクパターンの位置歪。マスク を構成する膜 (メンブレン、吸収体、エッチングマスク、レジストなど)の応力緩和や発生が主な原因であり、X 線マスクのパターン位置精度を決める重要な誤差要因となる。
パターン形成後にメンブレン化する場合は、メンブレンの引っ張り応力が一度に解放される(メンブレン部のシリコンが除かれるため、メンブレンの引っ張り応力により残されたシリコン基板の枠全体が縮もうとする)ので誘起歪が大きくなる。この影響を抑えるためにシリコン基板の厚板化が進められ、現在は2mmになっている。しかしながら、シリコン基板の厚さの増加は生産性に影響を及ぼすために、これ以上の厚板化は望めない。このため、現在ではメンブレン化するシリコン基板の窓抜き工程はパターンを形成する前に行うメンブレンプロセスが採用されている。これにより、メンブレンの応力に起因する誘起歪は大幅に低減される。吸収体膜の応力は、いずれのプロセスにおいても誘起歪を発生させる重要な原因になる。これを低減するには、吸収体の応力をなくすことおよびプロセスに対して安定な膜質にすることが重要である。応力のない膜堆積法の開発が検討課題となっている。この他、吸収体パターンのエッチングに用いられるハードマスク、メンブレンの可視光透過率を上げるための無反射コーティングなども膜厚は薄いものの誘起歪の原因となるため応力の低減が必須となる。また、シリコン基板をフレームに張り付ける工程でも応力や基板変形が発生すると、誘起歪を発生させる。


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