半導体用語集
赤外線顕微鏡法
英語表記:infrared microscopy
可視光を用いて像を拡大し観察する光学顕微鏡は古来より多くの分野で用いられてきた。可視光の代わりに赤外線,紫外線,超音波,ラマン光などをプローブとして用いればおのおの赤外線顕微鏡,紫外線顕微鏡,超音波顕微鏡,ラマン顕微鏡などとなる。プローブビームの特性に応じ観測物理量が異なるため,これらの顕微鏡は用途に応じ使い分けられている。
半導体は可視光に対しては不透明であるが赤外線に対しては透明である。したがって可視光を用いた顕微鏡では半導体の表面構造のみが観測されるのに対して,赤外線顕微鏡を用いれば半導体の内部構造を非破壊で観測することが可能となる。ここに赤外線顕微鏡の最大の特徴がある。赤外線顕微鏡は透過式の光学顕微鏡と赤外線検出器を備えたカメラからなりたっている。光源を出た赤外光は試料を透過しレンズ系で拡大された後,Siビジコン,Pb PbOビジコンなどの赤外線検出器を備えたカメラで可視化され顕微鏡像となる。
半導体内部に析出した不純物は赤外光を吸収するから赤外線顕微鏡では黒い影として観測される。結晶欠陥も原理的には赤外光を吸収する。しかし,吸収係数はそれほど大きくなく,したがってシリコン内部の転移は赤外線顕微鏡では余り明瞭には観測されない。そこで銅デコレーション法を併用する。この手法ではシリコン表面に銅原子を付着させた後,熱処理を行い銅原子をシリコン中の転移に優先的に析出させる。このようにして,間接的ではあるが銅の析出物を介して転移が観測される。一方,自由キャリアを高濃度に含む半導体は自由キャリア吸収のため,赤外領域の吸収体となる。したがって赤外線顕微鏡で観測するには試料を非常に薄くする必要がある。
赤外線顕微鏡において,試料の前後に赤外線用の偏光板を挿入すれば赤外線偏光顕微鏡となる。半導体内部の歪観測を行う場合にこの手法が用いられる。
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