半導体用語集
選択酸化法
英語表記:Local Oxidation of Silicon : LOCOS
素子分離形成方法の一つ。LOCOS法の特徴はシリコン窒化膜の酸化されにくい性質を利用して、素子分離領域にのみ厚い熱酸化膜(フィールド酸化膜)を形成する点にある。フィールド酸化膜は寄生MOSトランジスタの “厚いゲート酸化膜”となり、寄生トランジスタのしきい値電圧を高くするため、素子間を区画する役割を果たす。
典型的なLOCOS形成プロセスフローとしては、まず、シリコン基板を熱酸化し、20nm程度の酸化膜(パッド酸化膜)を形成後、その上にCVD法によりマスク窒化膜を100nm程度堆積する。次いで、リソグラフィ技術によりフォトレジストをパターニングし、素子(および素子分離)、となる領域を区画する。次いでパターン開口部のマスク窒化膜/パッド酸化膜を異方性ドライエッチング法で順次除去し、素子領域となる領域に窒化膜を残し、分離領域となる領域はシリコン基板が露出するようにする。次にエッチングマスクとなったフォトレジストを剥離後、300~1,000nm熱酸化(フィールド酸化)する。この時窒化膜に被覆されていない、シリコン基板が露出した領域のみが選択的に酸化されるため、素子分離領域にのみ厚い熱酸化膜が形成される。最後に酸化のマスクとなった窒化膜、パッド酸化膜をウェットエッチングで順次除去することによりLOCOSが完成する。
マスク窒化膜の下に形成されるパッド酸化膜は、窒化膜とシリコン基板間に生じる応力を緩和する役割を果たしており、フィールド酸化時に基板に結晶欠陥が入ることを防止する。
LOCOS法は比較的簡便なプロセスで形成が可能であることから、1970年にPhilips社によって発表されて以来、LSI開発の黎明期より今日に至るまで一般的に用いられてきた素子分離法である。しかしながら、熱酸化を用いるLOCOS法では、バーズビークと呼ばれるフィールド酸化膜の“食い込み”が生じ、それによりでき上がりの素子寸法が設計寸法よりも小さくなり、トランジスタなどのデバイス特性が制御しずらくなるという問題点がある。バーズビークを小さくするためにはフィールド酸化量を減らすことが効果的であるが、フィールド酸化量とバーズビークの大きさはトレードオフの関係にあり、酸化量の減少は素子分離能力の低下に直結する。素子の微細化が進んだ今日では、バーズビークの抑制と素子分離能力の維持を両立させるプロセスマージンが小さくなっており、LOCOS法の限界が近づきつつある。そのため、設計ルール0.25µm以下の世代からは、これに代わる素子分離技術としてトレンチ分離法が用いられるようになってきている。
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