半導体用語集
酸化物半導体
英語表記:oxide semiconductor
酸化物というと絶縁体というイメージが強いが,その物性は,電気伝導性一つをみても禁止帯幅が,8.3eVもあるAl₂0₃のような典型的な絶縁体から,Agに匹敵する電気伝導率を有する透明な金属であるReO₃まで多様である。古くから透明導電膜として用いられてきたSnO₂やIn₂0₃は,それぞれ禁止帯幅が3.7eVと3.4eVのn型半導体である。その他,ZnO,WO₃,Ti0₂,Cu₂0,SrTiO₃なども導電性を有し,半導体的性格を持っている。
多くの金属酸化物は,金属イオンを酸素イオンが,4配位,または6配位で取り囲んだ多面体構造が,頂点や稜を共有することによって連結された構造を有している。したがって,一般的には,電子構造は,酸素の2p軌道と金属イオンのd軌道の混成によって形成されるバンドによって特徴づけられる。金属のd準位とくらべ,酸素の2p準位のエネルギーが大幅に低いため,価電子帯は,主として酸素の2p軌道から,伝導帯は,主として金属のd軌道が酸素の結晶場によって分裂したdε軌道とdγ軌道のいずれかで構成される。伝導帯が,部分的に電子で充填されれば金属となるはすである。しかし,酸化物では,d電子の局在性のため電子相関の効果が強く,また,電子格子相互作用も強いことなどから,高温超伝導やMn酸化物で観測される巨大磁気抵抗効果などに代表されるように電気伝導性,超伝導,磁性が絡んだ多彩な物性が実現される。
一方,良好な半導体的な特性を示す酸化物は,むしろ例外的に価電子帯と伝導帯がsp軌道的な性格を強く持つ物質で,先に述べたSnO₂やZnOなどは,その典型である。これらの物質では,自然に酸素欠損が起こり,生じた固有欠陥のため低抵抗なn型半導体となる。一方,特にギャップの広い酸化物ではp型伝導の実現は困難とされてきた。ところが,CuAlO₂などの室温でも比較的大きなp型伝導度を示す物質が見出され注目を集めている。
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