半導体用語集

酸素プラズマ耐性

英語表記:02 plasma resistance

低誘電率層間絶縁膜を実際のメタライゼーションプロセスに導入しようとした場合、材料の酸素プラズマ耐性が問題となる。多くの材料が、酸素プラズマ耐性を持たないためである。シリコン酸化膜系低誘電率層間絶縁膜のうちSiOFのみは酸素プラズマ耐性を持つが、他のSi-H結合やSi-有機基結合(Si-CH3など)を持つ低誘電率膜では、その結合が酸素プラズマにより破壊されてしまう。また、有機高分子膜においては、酸素プラズマで膜が分解してしまう。 このため、ビアホール形成後のフォトレジストアッシング (フォトレジスト灰化)をどのように行うかが課題となる。通常、低誘電率層間絶縁膜は上部をシリコン酸化膜で保護された形で用いられる。低誘電率層間絶縁膜の表面は上層シリコン酸化膜で保護されているため問題はない。
しかし、ビアホールの側壁では膜が露出してしまう。この部分において、フォトレジストの除去の時に間題が発生する。レジストアッシングには酸素プラズマ中の酸素イオンではなく、活性酸素(酸素ラジカル)が主に用いられる。この酸素ラジカルが、等方的に側壁をアタックし膜質を変えてしまうからである。シリコン酸化膜系低誘電率膜は、活性酸素のアタックを受けSi-HおよびSi-R結合が酸化されきわめてポーラスな構造となる。形状的には変わらないものの、ビアホール側壁部は、きわめて吸湿性の高い膜質となる。このような膜は、室温で水分を容易に吸収し、 100℃から200℃の熱処理で吸収した水分を再放出するため、次のプラグ形成工程でポイゾンドビアの間題を引き起こす。対策として、レジストアッシング前に、ビアホール側壁部の膜質を稠密な構造に改質する方法が取られる。具体的には酸素RIEを用いるか、酸素添加Arプラズマを用いる方式である。方向性のあるイオン照射により酸化と同時に表面の膜密度を上げる方法である。
有機高分子膜の場合は、シリコン酸化膜をハードマスクとして、酸素プラズマでビアホールの形成を行う。しかしこの時活性酸素があるとボーイング形状となってしまう。ハードマスクであるシリコン酸化膜上のレジスト除去を、活性酸素の多いフォトレジストアッシング用酸素プラズマで行うわけにはいかない。フォトレジスト除去を有機高分子膜の酸素RIEと同時に行う場合が多いが、活性酸素成分を減らすため低温下を行ったり、アルコール添加で側壁保護膜を形成させることでボーイング形状の発生を押える。


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