半導体用語集

金ワイヤ

英語表記:Gold Wire

 Siチップ上のAl電極パッドと外部引き出しリードを接続するワイヤボンディング法に用いられる金属細線材料。Auワイヤは主に樹脂封止型パッケージのワイヤボンディング材料として用いられる。Auは展性延性に優れているため,封止樹脂による機械的ストレスに強く,また,Auは不活性で安定なために,耐腐食性があることから,水分進入しやすい樹脂封止型パッケージに最適である。
 Auワイヤの直径は20~50µmが主流である。特に大電流の流れるデバイスには,35~50µmの太い線径を使用するか,大電流の流れる部分にのみ複数本ボンディングする方法が取られる。
 Auワイヤの溶断電流は直径30µm,ワイヤ長4.5mmの場合,大気中では約1Aであるが,樹脂封止型パッケージでは樹脂を通じた放熱効果により,溶断電流を大きくすることができる。また,AuはCu,Agに次ぐ高い電気伝導度を有する。
 Auワイヤの化学成分は,金の純度が99.99%(4N)であるものが主流である。Auに含有する元素の種類や量によって,Auワイヤ溶融後に形成されるボール形状や機械的性質,ループ形状などが大きく変化するため,添加元素とその量は慎重に決定する必要がある。近年,高信頼性ボンディングワイヤとして,Al電極パッドと結合性の高い元素をAuに1%前後添加し,Au中へのAlの拡散速度を遅くして,カーケンドールボイドの発生を抑止するワイヤも開発されている。ワイヤの機械的特性には伸び率と破断荷重があり,添加元素と伸線加工後のアニールによってこれらの特性が決定される。一般的にアニール温度が高くなるに従い歪が除去され,破断荷重は小さくなり,逆に伸び率は大きくなる。


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