半導体用語集

電子プローブ微小分析法

英語表記:electron probe micro analysis

 物質表面に電子線を照射すると物質と電子が相互作用し,反射電子,オージェ電子,特性X線などを出す。オージェ電子を検出し物質の元素分析を行う手法がオージェ電子分光法であり,特性X線を検出して元素分析を行う手法が電子プローブ微小分析法である。オージェ電子を放出する確率は軽元素ほど大きく,またオージェ電子は表面近傍(0.3~3nm程度の深さ)からでないと物質の外に出ることができない。一方,特性X線を放出する確率は重元素ほど大きく,また特性X線は表面から1µm程度の深さからでも表面に到達することができる。これらの特徴を考えオージェ電子分光法と電子プローブ微小分析法とを目的に応じ使い分けて行けばよい。
 電子プローブ微小分析装置は電子線照射系・電子線走査系・試料台・X線分光器・データ処理系からなる。単独の分析装置としてよりも走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡にX線分光器を取りつけた形で利用されることが多い。電子銃から放出された電子線は数keVから数10keV程度の電圧で加速される。その後,電子線は直径1µm以下に収束され試料表面に照射される。放出される特性X線の試料内での分布は数10nmから1µmに及ぶ。したがって,オージェ電子分光法ほどには表面汚染に敏感ではなく,10⁻⁶Torr程度の真空度でも信頼性のあるミクロ分析ができる。
 特性X線の波長は波長分散型分光器またはエネルギー分散型分光器(energy dispersive X-ray spectroscopy)で測定される。前者ではブラッグ条件を満たす波長のX線だけを結晶格子で選択し,ガス放電型X線検知器で検知する。後者では半導体検出器を用いる。パルス波高値がX線のエネルギーに比例することからエネルギーを分析する。感度は後者の方がはるかに高い。
 二次電子像(走査型電子顕微鏡像)を同時観測しながら任意の微小位置で定量分析ができる。X線像を画像処理で元素別のカラー表示や等高線表示することも可能であり,半導体の組成分析によく用いられている。


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