半導体用語集

音響光学効果

英語表記:acousto—optic effect

 物質中に音波を入力すると,その粗密に応じて音波の進行方向に屈折率の周期的変化が作られ,入射した光がこの周期的屈折率変化により回折する効果を音響光学効果という。AO効果ともいう。物質は歪みや応力を受けて原子間距離が変化することによって屈折率が変化する。このような効果は光弾性効果,応力光学効果,ピエゾ光学効果などと呼ばれる。AO効果は音波(フォノン)と光(フォトン)との相互作用とも考えられる。光偏向,光変調,光周波数変換などに応用されている。
 物質に応力が加わリ歪む時,屈折率は光弾性効果により歪に比例して屈折率か変化する。したがって物質中を進む音波の波長λₛと同周期で屈折率が空間的に変化する。音波の波面に対してθの角度で入射した波長λの光は,ブラッグ条件を満たす(光と音波の運動量が保存される)方向に回折される。その方向は波面で反射したような角度,すなわち波面とθの角度(入射光とは反対側に)となる。このことから,音波の波長(周波数)を変換することにより出射光角度が変化し,光偏向が可能となる。また,エネルギー保存則から出射光の周波数は音波の周波数だけ変化することが知られている。これはドップラ効果によっても説明できる。このことから,出射光の周波数を音波の周波数分だけシフトする,光周波数変換に利用できる。さらに出射光の強度は回折効率が小さい時,近似的に音波の強度に比例することがいえる。このことから,音波の強度による光の強度変調が可能になる。
 光偏向についてさらに述べる。前述のようにブラッグの条件を満たすように入射光と音波の周波数を決めておき,音波の周波数を変化すると,出射光の方向はその変化量に比例した角度だけ変化する。すなわち音波の周波数に応じて光の偏光角を変えることのできる光偏光器,または光ビーム掃引が可能となる。光のビームはある角度(ビーム広がり角)で広がるが,この角度と偏向角との比が光偏向器の性能を表わし,解像度と呼ばれ,音波の周波数変化分と音波面が光ビームを横切る時間との積で表わされる。
 音響光学効果に用いられる材料は,光に対して透明であり,音波に対して減衰が小さく,また光弾性効果が大きい必要がある。代表的な材料は溶融石英であり,その他に二酸化テルル,モリブデン酸鉛などがある。GaAsやGaPなどの半導体も調べられているが,偏向器のような素子としては実用にはなっていない。


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