半導体用語集

SEM法

英語表記:SEM : Scanning Electron Microscopy

 SEM(走査型電子顕微鏡)は,電子ビームを試料上に走査しながらビーム照射箇所で発生する二次電子を検出し,その強度を走査場所に対応した明暗で表示する装置である。通常の光学顕微鏡で,光を電子に置き換えたものがTEM(透過型電子顕微鏡)であり,レーザ走査型顕微鏡で,光を電子に置き換えたものがSEMである。主に,表面形状の観察に用いられ,EDX装置をSEM装置に装着することで元素分析にも使われている。また,電位分布の観察にも用いられ,それに特化した装置が電子ビームテスタである。
 表面形状が観察できる原理の概要は次のとおりである。二次電子のエネルギーは比較的弱く,表面から数nm程度より深いところで発生したものは真空中に出てこられない。このため電子ビームと試料表面との相対角度(形状により変わる)により,二次電子の発生量が変わり,像での明るさが変わる。これが形状として認識できる。
 次に電位コントラストが観察できる原理の概要は次のとおりである。二次電子は負の電荷を持っているため,ニ次電子が発生する試料表面と,二次電子が検出される検出器との間の電界分布により,検出器への到達量が異なる。簡単な例では,3Vの電位の配線からよりもOVの電位の配線からの方が検出器に多くの二次電子が到達し,明るく表示される。これが電位分布像として認識される。
 光学顕微鏡,TEM,SIM(走査型イオン顕微鏡,FIBの機能の一つ)もSEMと同じように像として観察できるが,SEM像はこれらの像とくらべると以下に記す特徴がある。それぞれの長短に応じて使い分けている。

 光学顕微鏡にくらべるとSEMには,次のような特徴がある。
(1)空間分解能が高い。
(2)焦点深度が深いため凹凸の多いサンプルの観察も容易。
(3)形状観察と同時にEDXなどの併用により元素分析が可能。
(4)表面形状はわかるが,色の情報がなくまた絶縁膜が透けてはみえない。
(5)真空中で観察する必要がある。

 TEMとくらべるとSEMには,次のような特徴がある。
(1)薄片化の必要がなく,観察の前処理が簡単で広い範囲の観察が可能。
(2)空間分解能が劣る。
(3)結晶に関する情報がきわめて少ない。

 また,SIMとくらべると,SEMには,次のような特徴がある。
(1)空間分解能がやや優れる。
(2)スパッタリングしないという意味では非破壊で観察可能。
(3)観察と同時にEDXによる分析が可能。
(4)結晶や物質差に関する情報に乏しい。
(5)電位コントラスト観察中の加工ができないため,電位コントラスト観察時の帯電現象の制御が困難。


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