半導体用語集

EBデータ変換

英語表記:EB data converston

CADを用いて設計された半導体回路のレイアウトデータを、電子ビーム描画装置用データに変換処理することをEBデータ変換と呼ぶ。電子ビーム描画装置は描画方式に依存した装置固有のデータフォーマットを有しているため、描画したいパターンデータを描画装置フォーマットに変換して装置に入力しなければならない。レイアウトデータは、図形演算処理によって所望の描画パターンデータに加工される。たとえば,複数の層に分かれて定義されたレイアウトを論理和演算することで一つにまとめたり、レジストのネガ/ポジ特性に応じてパターンを白黒反転させたり、レジスト仕上がり寸法にオフセットが存在する場合には細め/太め処理によってあらかじめ描画パターン寸法を補正したり、というような処理が施される。電子ビーム描画用データは、描画方式に依存したフォーマットで表現される。たとえば、ステージ連続移動方式の場合には、1回のステージ移動で描画可能なストライプ領域ごとにデータが分割定義、対物偏向が主・副2段構成の場合には、各偏向領域にデータが区切られて定義される。これらを考慮して、フォーマット変換処理は、パターンを副偏向領域境界で分割した後にストライプ領域に振り分け、描画パターンデータを描画回路が処理可能な基本図形 (矩形、三角形、台形など)に分解して出力する。EBデータ変換の技術的ポイントは、処理時間短縮とデータ量削減である。LSIの高集積化と大規模化に伴ってパターン数は増加の一途を辿っている。そのため、現在の高集積LSIチップ内に定義されているすべてのパターンを順番に処理しようとすると、膨大な時間か必要となっている。この処理時間の問題を解決する技術として、階層処理と並列処理がある。階層処理は、設計レイアウトデータが持つ階層構造を利用して、図形演算処理の対象となるパターン数を減らし、処理時間を短縮する方法である。特に、半導体メモリのような同じパターンが繰り返し現われる、規則性の高いパターンに有効な技術である。並列処理は、チップ領域を複数の領域に区分けし、これを複数の計算機あるいはプロセッサに分配して同時に処理させる方法である。階層処理と組み合わせるこ とで、処理時間短縮効果をさらに高めることができる。近年、描画データ変換が描画性能へ及ぼす影響が注目されている。描画パターンを基本図形に分解する際に、微小な図形を発生してしまうと、ショット数が増加して描画スループットが低下したり、徴小ショッ トがパターンの質の劣化を引き起こしたりする。これらを解決するために、徴小ショットの発生を極力抑えるアルゴリズムの検討が行われている。また、部分一括露光法に対応して、描画効率を考慮して部分一括露光パターンを抽出するCADも開発されている。


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