半導体用語集

温度降下法

英語表記:slow cooling method

 温度降下法は徐冷法ともいい、溶液温度を飽和温度以下に徐々に低下させることにより過飽和を発生させ、結晶を析出させる溶液法の代表的成長法の一つである。溶解度の温度係数が正、すなわち高温ほど溶解度が大きい溶液の場合に用いられる。低温溶媒(水など)および高温溶媒(フラックス)ともにこの方法を用いることができ、古くから多くの強誘電体、たとえば KDP(KH₂PO₄)やTGS(硫酸トリグリシン)が水を溶媒として、BaTiO₃やSrTiO₃が自己フラックスを用いて作成されている。KDPはこの方法により数kℓの溶液から断面40cm、高さ1mの巨大な結晶が作成されている(種子結晶使用)。BaTiO₃の融点は1,618℃であるがBaOと TiO₂を35: 65のモル比で混ぜたものを加熱すると約1,500℃でBaTiO₃を溶質、残りのTiO₂を溶媒とした溶液となり、冷却すると純粋なBaTiO₃が析出する。ただし、1,317℃まで冷却すると他の共晶(BaTi₂O₅とBaTi₃O₇)が析出して全体が固まってしまい、BaTiO₃と分離するのが困難になる。このため、種子結晶を用いてフラックス引き上げ法で1,317℃までに単結晶を成長している。
 温度降下法では原料を追加することができないので、大きな結晶を作成するためには核発生を少なくするか、種子結晶を用いる必要がある。核発生を減少させる手法としては温度を低下して核発生をさせ、再度温度を上昇して小さいものだけ再溶解し、これを繰り返して大きな核だけが生き残るようにする方法がある。また、平均成長速度(溶液法では方位によって成長速度が異なり、遅い方位には平面が広がる)は温度降下速度×溶解度差(=析出量)/成長表面の総和となるため、温度降下法で成長を行う場合には、溶解度あるいは相図および核発生に必要な過飽和度について十分な情報をえておく必要がある。


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