半導体用語集

溶液法

英語表記:solution growth method

 溶媒に溶質を溶解させ、この溶液から固相を結晶化させる方法を溶液法と呼んでいる。溶液法は融液からの成長法とくらべると成長速度が極端に遅いという短所があるものの、非調和融解物質の成長には不可欠の成長法であり、また、簡単に水溶液が作れる物質、高温では蒸気圧が高い物質などの低温成長に便利な成長法である。溶液法のうち、溶媒温度が高いものをフラックス法といい、溶媒(フラックス)には自己フラックスとそれ以外のフラックスがある。自己フラックスとは目的結晶成分の一部を過剰にしたもので、不純物の混入を嫌う半導体の成長に用いられる。たとえば、GaAsや GaPに対してGa、HgCdTeに対してはHgあるいはTeがフラックスになる。これに対して、酸化物や硫化物に対しては自己フラックス以外のフラックスを用いる。代表的なフラックスとしては、KF、KCl、NaClなどのハロゲン化物、PbO、Bi₂O₃などがある。自己フラックス以外のフラックスの場合、フラックス成分の一部が不純物として結晶に混入するのは避けられない。フラックスには溶解度が高いこと、高温で安定であること、るつぼと反応しないこと、溶質と反応して安定相を形成しないことなどが要求される。溶液法における成長の原理は飽和溶液を作成し、何らかの操作により過飽和状態にして溶質を析出させることである。過飽和状態の作成方法として代表的な方法は、溶媒を蒸発させる溶媒蒸発法、溶液の温度を下げる温度降下法、および温度勾配や重力を利用して濃度勾配をつける濃度勾配法がある。また、溶液法では一般的にはるつぼ底面や壁面に自然核発生させるが、種子結晶を用いて単結晶を成長させる場合もある。代表的な例としては、溶液表面から種子結晶を引き上げながら結晶を引き上げるフラックス引き上げ法(Top- Seeded  Solution  Growth:TSSG法)、ゾーンメルティング法の一種であるTZ法やTSFZ法(「ゾーンメルティング法」の項参照)がある。


関連製品

「溶液法」に関連する製品が存在しません。

関連用語

関連特集

「溶液法」に関連する特集が存在しません。




会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。