半導体用語集
Ⅱ-Ⅵ族化合物半導体
英語表記:Ⅱ-Ⅵ Compound Semiconductors
周期表のⅡ族原子(Be,Mg,Zn,Cd,Hg)とⅥ族原子(0,S,Se,Te)の組み合わせの二元化合物半導体ならびにその混晶からなる半導体の総称。Ⅳ族,Ⅲ-Ⅴ族,Ⅱ-Ⅵ族の順に化合物のイオン性が強くなる。これは周期表の左下に行くほど元素の電子を引きつける力である電気陰性度が小さく,右上に行くほど大きくなることから,Ⅱ-Ⅵ族半導体では価電子の陰原子への局在が大きくなる。このために生じる極性エネルギーにより,Ⅱ-Ⅵ族半導体のエネルギーギャップはより大きくなる傾向を示す。また半導体の価電子バンド端は,一般に陰原子で基本的な特性が決定されるので,周期表の上の陰原子と結合した半導体ほど価電子バンド端がエネルギー的に下がる。Ⅱ-Ⅵ族化合物半導体は,4配位で結合するものが閃亜鉛鉱構造かウルツ鉱構造を取り,6配位で結合するものが岩塩構造を取る。ZnS,CdSなどはウルツ鉱構造を取りやすいが,GaAs(001)基板上で薄膜成長すると閃亜鉛鉱構造を取る。同様にMgS,MgSeは岩塩構造となるが,GaAs(001)基板上では閃亜鉛鉱構造にもりうる。
電気伝導の観点では,このように価電子バンド端がエネルギー的に下がった半導体の場合には,ドーピングによりフェルミレベルを価電子帯に近づけようとすると自己補償が起こり,p型伝導が困難になる。Ⅱ-Ⅵ族半導体の場合には,電気陰性度の大きさに応じて,たとえば,ZnSe,Zns,ZnOとこのようなp型伝導に関する困難の度合いが増していく。これらにおいてはn型伝導は比較的容易にえられる。逆にZnTeの場合はTeの電気陰性度が小さいため,価電子バンド端は他のⅡ-Ⅵ族半導体にくらべてエネルギー的に上にあり,p型伝導は比較的容易にえられる。しかしこの場合にはn型伝導がより困難となる。ZnSe系では,それまで困難であったp型伝導がMBEにおける窒素プラズマドーピングにより実現された。このブレークスルーにより,ZnCdSe/ZnMgSSe系青緑半導体レーザの研究が進み,室温連続動作の素子寿命500時間以上がえられている。しかしエネルギーギャップが増大すると,p型伝導が困難になる問題が依然として残っている。
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