半導体用語集

アルミニウム配線

英語表記:aluminum conductor

アルミニウムもしくはアルミニウム合金で形成された配線。電極部も含めて呼ぶ場合もある。アルミニウムは半導体、特にシリコン半導体用の配線として、ICの発明以来、今日まで使われ続けている。各種金属の中でも電気抵抗が比較的低く、薄膜が形成しやすい、微細加工が可能、基板への接着性がよい、表面の酸化被膜が内部の酸化を抑制するなど、製造プロセスが比較的容易であり半導体素子用の配線として総合的に優れた性質を備えている。一方、耐熱性が低いため、プロセス中の熱工程により、ヒロックや電極部(コンタクト;シリコンとの接続部) でのアロイスパイクを形成しやすい、エッチング後に腐食しやすいといった欠点がある。さらに,長期的にはエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションという信頼度上の間題も引き起こしやすい。
エレクトロマイグレーションとは金属配線に高密度の電流が流れることにより、金属原子が移動する現象をいう。導体に共通の現象だが、特に、LSIのアルミニウム配線でよく知られており、配線の徴細化により電流密度が1×105A/cm2を越えると顕著になる。アルミニウムを代表とする金属配線では電子の流れる方向に原子が移動し、負極側にボイドと呼ばれる孔(欠損部)が、正極側にヒロックやウイス力が発生する場合が多い。通常はボイドの成長により断線故障を引き起こす。ヒロックやウイスカが短絡故障を引き起こすこともある。ストレスマイグレーションは無通電の高温保管状態や、温度サイクルのみでも配線の構成原子が移動し、移動元にボイドが発生する現象である。基本的にはアルミニウム配線に印加されている引っ張り応力の緩和過程で発生し、構造材料におけるクリープ破壊と類似の現象である。実用的には配線の引っ張り応力が大きくなる、幅1~2μm程度以下の配線において顕著となる。
これらを改善するための方法として数%程度以下の添加元素を加える合金化や高融点金属との積層化が行われている。アロイスパイクを防止するためアルミニウム中にシリコンを加えたりアルミニウム層の下側にバリア膜を設ける。高温の製造工程でのヒロック防止、およびエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーション防止のために銅やチタン(Ti)を添加したり、高融点金属、シリサイド、高融点金属の窒化物(TiNなど)層を重ねることでマイグレーションによる劣化を抑制する。配線のアルミニウムは膜厚と同程度の大きさの多結晶からなる。前述の配線劣化は主に粒界拡散によって起こり、合金元素はこの粒界拡散を抑制すると考えられている。さらにアルミニウムの結晶粒径を大きく、大小のばらっきを少なくし、さらに配向性(各粒の結晶軸の向きのそろっている度合) を向上させることでも信頼性は改善される。積層化には冗長性以外にこのようなアルミニウム自体を変える効果もある。


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