半導体用語集
無機系
英語表記:Inorganic type
各種ULSIデバイス形成後に保護絶縁膜を形成し、その表面を平坦化するために広く用いられている。Si02膜にリンを拡散させた膜(PSG)やホウ素およびリンを拡散させた膜 (BPSG)が主に用いられる。Si02にリンやホウ素を多量に拡散させるとSi02の軟化温度が低下し、熱処理によって膜が容易に流動し(reflow)、膜表面が平坦化(平滑化)される。
PSGがまず検討されたが、リフロー 温度は900℃程度が実用的な下限で、高濃度が必要とされるために、膜の吸湿性が増したり、エッチングの際にリンが析出しやすくなるなどの問題が生じる。これを改善するためにリンとボロンの両方を添加してBPSG (Borophosphosilicate Glass)膜とし、リフローを低温化してデバイス表面を平坦化したり、コンタクト孔をテーパ化することが1980年代初頭から用いられるようになった1)。BPSGのCVD法そのものは1970年にすでに発表されている。最近のULSIでは、BとPとを併せた濃度が20mol%にも及ぶ高濃度として、850℃以下の低温リフローを行う例も見られる。さらに多層配線が一般に用いられるようになって、層間絶縁膜についても表面を平坦化できる要求も強まった。アルミニウム配線上に形成するには、おおむね450 ℃以下の低温で形成・平坦化する必要がある。有機シリコン材料であるTEOS (Tetraethoxysilane)とオゾンとを常圧で反応させたCVD法によって、500℃以下の低温で、不純物を添加しないでBPSG膜と同様なフロー形状をえる方法も提案された2)。近年ではULSI素子間分離用の埋め込み絶緑膜の形成にも応用されている。また溶液を回転塗布・熱処理することによってSi02 膜をえる技術も知られている(「有機系」の項参照)。
参考文献
1)W. Kern: RCA Review, p. 423(Sept, 1982
2)K. Maeda al:Denki Kagaku, 45, P.654 (1977)
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