半導体用語集

パッケージ

英語表記:package

 半導体素子を外部環境から保護しながら素子自体の性能を最大限に引き出すために構成された外囲器のこと。
 パッケージは,大別すると以下の四つの機能を持っている。一番目は,素子とシステム間の電源供給および信号の入出力を行うための電気的接続。ニ番目は,素子を外部環境(汚染物質,機械的応力,振動,衝撃,光,磁気,高周波など)から守る保護機能。三番目は,動作時の素子から出る熱を速やかに外部に放出させ,素子の温度上昇を防ぐ熱放散機能。四番目は,サブミクロンスケールで形成されたチップの配線を,ミリメートルスケールの実装基板にまで拡大するスケール変換機能である。その他にも,パッケージを搭載する基板のフットプリントを標準化できる汎用化機能などもある。これらの機能を必要性に応じて効率よく発揮させることがパッケージの使命である。
 パッケージを構成している材料は,素子を搭載したり,システムとの電気的接続を行うリードフレーム,素子をリードフレームのダイパッド上に固着するダイボンド材,素子とリードフレームを電気的に接続するボンディングワイヤ,これらを封止する封止材などが基本になっている。近年は,パッケージの高密度実装化や薄型化に伴い,リードフレームの代わりに有機系,無機系の基板を用いたり,ボンディングワイヤの代わりにバンプを用いたりすることも多くなっている。
 主なパッケージ形態の変遷を追ってみる。まず1960年代にDIP(Dual Inline Package)がFairchild社によって考案された。これは対向二辺のみからリードが出た,基板に挿入してはんだ付けする挿入型パッケージである。これに対抗して日立よりFP(Flat Package)が考案された。これは対向する二辺あるいは四辺からガルウィング型のリードが出た,基板のスルーホールを使用せずに実装できる表面実装型パッケージである。四辺よりリードが出ているものをQFP(Quad Flat Package),対向二辺よりリードが出ているものをSOP(Small Out­line Package),SOJ(Small Outline J-leaded Package)と呼んでいる。1980~1990年代にかけ,多ピン化,小型化の要求の高まりとともにFPは一般化し,これらを薄型にしたTQFP(Thin QFP)やTSOP(Thin SOP)も使用されるようになった。また,さらなる多ピン化の要求に適合するパッケージとして,1995年頃より,BGA(Ball Grid Array)が使用され始めた。このパッケージはピンの代わりに突起状の電極を格子状に配列したものであり,小型でかつ高密度実装に向いた表面実装型のパッケージである。
 現在,パッケージは,電子機器の様々な要求に対応するため,新しい形態が増える傾向にある。パッケージの小型化,軽量化,薄型化,狭ピッチ化はもちろん,チップの大型化や高速化に合わせた放熱特性の向上やノイズ対策なども注目されている。


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