半導体用語集

エアアイソレーション

英語表記:air isolation

メタル配線間を絶縁膜で充填するのではなく、空洞を作ることで、配線間の寄生容量を低減させる配線構造。エアギャップとも呼ぶ。気体の比誘電率は一般の低誘電率膜にくらべ圧倒的に小さい。酸素、窒素、アルゴン、ヘリウムおよび二酸化炭素などすべて、比誘電率は1.00である。このため、配線間を絶縁 で埋め込んだ場合にくらべ、配線寄生容量は大幅に低減される。 配線の強度を維持するなどの製造プロセス上の問題から、層間絶縁膜をすべて気体に置き換えることは不可能であり、 上下の配線間または隣接配線間の一部にシリコン酸化膜を残す構造が提案されている。このため、実効の配線間の比誘率はガスの比誘電率にくらべ上昇してしまうが、 実効的な比誘電率として1.8から気体の比誘電率にきわめて近い値までが、報告されている。エアアイソレーションを実現するためのプロセスとして、 2種類の方式が提案されている。ーつは段差被覆性のあまり良好でないCVDシリコン酸化膜、たとえば、SiH4N2O系プラズマ酸化膜を用い配線間に積極的にボイドを発生させ、配線間空洞上部にCVD シリコン酸化のブリッジを形成する方法である。もうーつの方法は、隣接配線間を炭素膜で充填し、多層配線の形成後、450℃の02アニールで充填した炭素を気化させ、配線間に空隙を作る方法である。まず、層間酸化膜の代わりに炭素膜を形成し、ダマシン法により埋め込み配線を形成する。その後配線間のブリッジとなる酸化膜を形成するが、通常のCVD酸化膜では炭素膜が酸化されるため、スパッタ法で形成する。次に拡散炉を用い450℃の02 雰囲気中熱処理を行うことで、配線間の炭素を気化させ空洞を形成する。エアアイソレーションでは、配線間の実効誘電率としては理想的なものがえられるが、製造プロセス上いくつかの問題を持つ。ーつはビアホールの形成である。リソグラフィの合わせずれにより、ビアホールがアイソレーショ ン部と接続してしまう危険性がある。
これに関してはピラーを用いての配線接続が提案されているが、6層以上の多層配線が要求される実際のLSIプロセスで実使用できるかどうかはまだ不明である。また、空隙中への水分などの不純物侵入に対処できるかどうかも明らかにはなっていない。金属配線の信頼性確保も含め実用化に向けては、多くの課題が残されている。


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