半導体用語集
オーバシュート効果
英語表記:overshoot effect
キャリアを電界で加速する場合、定常状態でのキャリアの速度は高電界で飽和速度(「飽和速度」の項参照)で一定になり、電界を大きくしてもそれ以上増大しない。これはフォノン散乱のようにキャリアのエネルギーを放出する非弾性散乱が生じるからである。しかし、一般に非弾性散乱によりエネルギーが緩和するエネルギー緩和時間τEは、弾性散乱が生じる時間スケールより長く、τE以下の短時間であればキャリアは一時的に飽和速度を超える速度を持つことができる。この非定常的にキャリアが高い速度を持つ状態をオーバシュート効果という。電圧印加から1ps以下の時間では、たとえばGaAs中の電子のドリフト速度は、高電界の場合には5~8×l07cm/sに達し、飽和速度より約一桁大きくなる。微小寸法のデバイスでは高電界領域をキャリアがt<τEで抜けてしまうため、オーバシュート効果は定常状態でも重要になる。この効果はlµm以下の寸法で重要になり、サブミクロンゲートFET、ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)のベース・コレク夕輸送特性などによい影響を及ぼす。オーバシュート領域での到達速度は弾性散乱により決定されるため、低電界移動度の大きなIII-V族化合物半導体が有利である。
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