半導体用語集
クリスマス商戦
英語表記:Christmas sales
季節要因として最も大きいのは、米国のクリスマス商戦である。一般的に、季節要因のために需要が多い期間には、各社とも新製品を投入して注力する。機会損失を出さないように多めに製品を手当てする傾向にある。半導体などの部品の発注は数ヶ月前倒しで大量に発注される。その結果、半導体ユーザーはクリスマス商戦前に意図的に在庫を積み上げることになる。半導体の最大の需要先であるPC業界を例にとると、米国系の大手PCメーカーは9月末に在庫水準が上がり、12月末には下がる傾向にある。実際、主要PCメーカー4社合計の過去10年間の平均在庫月数は、9月末が2.41ヶ月であるのに対して12月は2.03ヶ月である。
しかし、季節要因で需要が盛り上がり、積極的な在庫投資を行うことは、ハイリスク・ハイリータン型のビジネスモデルに繋がる可能性が高い。クリスマス商戦が不振に終わった場合、メーカー在庫、流通在庫が過剰となり、在庫処分のために値崩れが起きることが多い。そして、在庫調整の間、部品の発注は抑えられることになる。そのため、例年、1~3月は部品の不需要期となる。
幸いなことに、こうした季節要因による需要の振幅は緩やかになりつつある。これは、急成長著しい米デル社の成功にみられるように、PCメーカーの在庫水準が圧縮される傾向にあるためである。デルは、独自のダイレクトモデルを採用し、ユーザーに直接販売することによって、流通在庫や小売店在庫を省いた。また、受注生産方式によってメーカー在庫も極力抑えた。デルの1998年末時点の在庫日数は実に7日間に過ぎない。デルの成功に触発された競合メーカーは、競って適正在庫水準の圧縮に入った。その結果、季節要因の在庫調整だけでなく、構造的な在庫圧縮も重なり、1998年4~6月は未曾有の半導体不況となった。
PC業界において、メーカー、流通、小売店などのサプライチェーンの中に在庫があまりないということは、最終需要の動向が部品の需要に即座に反映されることを意味する。したがって、今後、季節要因による半導体部品の過剰な在庫調整の影響は小さくなると見込まれる。一方で、半導体メーカーにとっては、PCメーカーではなく最終ユーザーの動向を予測する必要があり、短期的な需要動向は見極めにくくなろう。
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