半導体用語集
シリコンサイクル
英語表記:silicon cycle
シリコンサイクルは、半導体産業における3~4年周期の好不況のサイクルである。最終製品であるエレクトロニクス製品の需要動向の変動に対し、設備産業であるため供給動向の変動には、必ず遅れが生じ、需給変動が激しくなることになる。すなわち、供給が需要を上回り、価格が低下した場合は、半導体メーカーが投資抑制を行う他、価格弾性が効いて、需要が増加するが、その時には供給が抑制されており、次世代の品種にシフトしているため、歩留りも低い。そこで、供給不足となって、価格が安定する。すると、もはや価格弾性は効かず需要はそれほど増えず、この頃には、設備投資も増えていることから、供給が十分に増えた頃には、再び供給過剰となる。その意味では、通常の景気循環ともいえるが、より価格弾性値が高いこと、新世代の設備投資の立ち上がりに時間がかかることから、 より顕著に現われる。かつては、オリンピックの年や大統領選挙の年に需要が強かったが、最近では、PCの新MPUや新OSの投入動向で需要が左右されることから、シリコンサイクルはWINTELサイクルといわれることもあった。直近では、半産研などではむしろ、シリコンサイクルとはDRAMサイクルであり、供給サイドの動向で決まってくるとの報告も出ている。ただ、この、他産業にはない振幅の激しさは、成長のダイナミズムの証であるともいえよう。前回のシリコンサイクルの底は1991~1992年で、シリコンサイクルの天井は、1995年であった。今回の底は、設備投資動向やインテルのMPUの投入時期で多少は振幅・位相は変化する可能性はあるが、1997~1998年であろう。これ以外にも、半導体産業には、いくつかの波動がある。第ーは30年のサイクルである。これは、半導体の素材の変遷である。30年以上前にゲルマニウムからシリコンヘ移り、その結果として、IC化も始まった。現在のシリコンIC全盛時代は当面続こうが、21世紀以降は、不揮発メモリである強誘電ICが地位を高めてこよう。1996年は、強誘電ICの事業化元年の年でもあり、電子マネー応用など予想以上に離陸は早い。第二の波動は、半導体、特にDRAMの主要ユーザーの「覇者の変遷」である。1985年を境にDRAMの主要ユーザーは、「大型コンピュータのIBM」から「PCのウィンテル(マイクロソフト社とインテル社の総称)」へと変わった。そして今日、PCはスタンドアローンからネットワークへと変わりつつあり、10年間続いた「86アーキテクチャ」も、従来の互換性と性能向上を維持するのが困難になりつつある。第三の波動は、B/Bレシオの季節要因に基づく波動であり、クリスマス商戦に向けての受注が始まる春から夏にかけて高く、在庫調整が起きる秋から冬にかけて低いのが一般的である。通常、B/Bレシオは、この季節性で、0.9から1.2位まで変動する。ただ、10年に一度、特に通常パターンと異なることがあり、注意を要する。1984~1985年がそうであったし、1996年1月以降のB/Bレシオ1.0割れもそうであった。
関連製品
「シリコンサイクル」に関連する製品が存在しません。キーワード検索
フリーワードやカテゴリーを指定して検索できます
関連用語
関連特集
会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。




