半導体用語集

ゲッタリング

英語表記:gettering

半導体基板中の金属不純物が特定の領域に濃集する現象。特に素子活性領域からの金属不純物の除去を目的として意図的に前述領域以外の半導体基板内のゲッタリングサイト(gettering site)に金属不純物を凝集させる技術または機能を指す。ゲッタリングぎじゅつは多様であり、ゲッタリング能力の付与手段の面から、イントリンシックゲッタリング(IG)とエクストリンシックゲッタリング(EG)とに分類され、ゲッタリングの機構面からは緩和型、偏析型、および注入型に分類できる。多くの金属元素は半導体デバイスに対して有害な働きをする。アルカリ金属は、MPSFETの酸化膜中に取り込まれると可動イオンとなり、遷移金属不純物はOSFなどの結晶欠陥の発生要因となる。金属不純物の多くは禁制帯中に深い準位を形成し、ライフタイムキラーとなったり、pn接合のリーク電流を増大させる。またFe、Ni、Cu、Mgは酸化膜耐圧の不良を引き起こす。アルカリ金属はパッシベーション技術により、その悪影響は防止できているが、遷移金属は洗浄工程・高温処理工程・ドライ工程と多岐にわたり侵入するため、ゲッタリング技術が重要となる。ゲッタリングの懸念は1960年頃からあり、裏面に堆積されたリンガラスによるEGが用いられたのが始まりといわれている。酸素析出によるIGの懸念は1976年に発表された。現在のシリコンデバイスではMOS LSI、バイポーラIC、あるいはディスクリートデバイスの量産ラインで広くゲッタリング手法が用いられているが、化合物半導体デバイスではまだ研究段階で有る。シリコンMOS LSIやイメージセンサでは金属汚染に対して特に敏感であるため、ゲッタリング技術が必要とされる場合がある。しかし、強力なイントリンシックゲッタリングを施し多場合、BMD多発による機械強度劣化などの副作用も起こすために、ゲッタリング技術の適用には注意が必要となる。なおゲッタリングによる素子活性領域中の金属不純物の完全な除去は実際には不可能であり、またゲッタリングできる元素とできない元素がある。各種のゲッタリング法の能力は半導体基板、デバイス製造工程、および汚染種に強く依存するために、デバイス製造工程と除去すべき汚染種に強く依存するために、デバイス製造工程と除去すべき汚染種に合わせた半導体基板の設計やプロセス設計が重要になる。したがって半導体製造ラインでのゲッタリング技術の位置づけは、素子の品種やラインによって多様である。第一に半導体基板設計により強力なゲッタリング能力を基板に求める考えがある。第二に清浄化・汚染管理を強化した金属汚染に強い製造工程の設計により、半導体基板にゲッタリング能力を持たせない考えもある。特に金属不純物に敏感な最先端MOSデバイスにおいては、製造工程の清浄化が本筋であり、ゲッタリングを保険的手段とする考えもある。ゲッタリング能力の評価法は結晶欠陥評価、不純物濃度の分析、電気的評価に大別できる。結晶欠陥評価は表面の金属汚染起因のOSFを評価することが一般的である。また基板表面に金属棒をこすりつけて汚染させ、熱処理後に反対側表面に形成されるシリサイド(shallow pit)の析出量を比較するというヘイズテストも用いられた。不純物濃度の分析は、強制汚染とシミュレーション熱処理により不純物をシリコンウェハにし、SPV、DLTS
、TXRF、 FL-AAS、ICP-MSなどによる高感度不純物分析で、シリコン基板表面と基板内部の金属不純物分布を調べる方法が採られている。強制汚染は一定量の金属イオン水溶液にシリコン基板を浸漬させて、基板表面に金属原子を吸着させる方法や、スピンコーティングによる方法がよく用いられる。この試料にデバイスの製造工程を模したシミュレーション熱処理を施すことにより基板内部へ金属不純物を拡散させてその濃度分布を調べ、ゲッタリングサイトと素子活性領域における金属不純物濃度との比率で、そのゲッタリング手法のゲッタリング能力を定量化することが多い。この場合、ゲッタリングの現象はシリコン結晶中の金属不純物濃度に強く依存するため、実際の金属不純物濃度レベルで評価することが大切である。そのため高感度の金属不純物分析手法が必須となる。電気的な評価手法ではMOS C-t 法でえられる発生ライフタイムやpn接合のリーク電流が、表層の不純物がゲッタリングで除去されたかの指標となる。DLTSも含め電気的手法は高感度であるが、手法により活性ではない元素もあり万能ではない。最近は前述の実験地に基づくコンピュータシミュレーションによる解析も始まっている。シミュレーションは熱処理実験を省略できるだけでなく、今後の微細化に伴い極微量の金属不純物がデバイス特性に大きく影響すると予想されるため、不純物分析の検出限界以下の微量の金属不純物の挙動を明らかにできる可能性を持つ有望な手段である。


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