半導体用語集

塩酸酸化

英語表記:hydrochloric acid oxidation

Si基板を熱酸化する際に、酸素に流量比で数%程度の塩酸を混入させることがあり、塩酸酸化と呼ばれている。塩酸酸化法を用いると、酸化膜中のNaなどのアルカリイオンに起因する可動イオン量を大幅に減少することができ、MOSデバイス特性の不安定性を抑制する効果がある。その理由は、以下のように考えられている。アルカリイオンの塩化物は蒸気圧が高いために,アルカリイオンは酸化反応中に酸化膜中から除去されやすい。また 塩酸酸化法を用いると、酸化膜内部および界面に塩素が混入するので,酸化膜内部に存在したり外部から侵入してくるNaなどの汚染物質を,ゲッタリ ングして不活性化する。さらに塩酸酸化には、ゲート絶縁膜の耐圧分布の向上、経時絶縁破壊耐性の向上,積層欠陥の抑制による接合リーク電流の減少、界面準位密度の減少などの効果があることも確認されている。塩酸を添加すると、酸化膜中の酸素の拡散が増速する結果、酸化膜の成長速度が増加するが、添加量が過剰であると、界面の平坦性が損なわれたり、 かえってMOSデバイスの界面特性の不安定性を招いたりするので、適量の添加量が必要である。塩酸の代わりに、塩素、トリクロル工チレン、ダイクロルエチレンを用いても、塩酸と同様に汚染防止の効果をえることができる。 トリクレンなどの有機塩素系を用いると、ガス配管の腐食を抑制できる利点がある。


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