半導体用語集
熱酸化
英語表記:thermal oxidation
熱酸化はSiの表面を酸化性雰囲気中で加熱して, Si02を形成することである。Si基板の熱酸化は通常、以下の工程で行われる。Si表面上に付着したパーティクル、メタル不純物、 有機物などの汚染物質を順次、薬品を用いて洗浄・除去する。洗浄によって、Si表面には1nm程度の自然酸化膜が形成される。次に酸化性雰囲気下で700 ~1,200℃に加熱することにより、Si表面上に酸化膜が形成される。このようにSiを高温で酸化性雰囲気に曝して形成される酸化膜は、熱酸化膜と呼ばれている。酸化性雰囲気としては、乾燥酸素が用いられるが(ドライ酸化)、必要に応じ水蒸気(スチーム酸化)や、塩酸(塩酸酸化)を添加した酸素が用いられる。Si基板上に形成された熱酸化膜は非常に安定であり、しかも均一で欠陥が少ないので、熱酸化膜はSiデバイスの製造上利用しやすい材科である。しかし水分やNaなどのアルカリ金属を透過させやすく、これらの不純物が酸化膜中に混入すると、デバイス特性が変動してしまうので、 Siデバイスを作成後, 表面をCVD法で形成した PSGなどの不活性化絶縁膜で覆い, これら不純物の侵入を阻止する必要がある。この不活性化技術の完成によって初めて,熱酸化膜を重要な構成要素とするMOSデバイステクノロジーが完成をみた。熱酸化法はMOSデバイスのゲート絶縁膜をはじめ、キャパシタ用絶縁膜,拡散やイオン注入の際のマスク材 (マスク用絶縁膜)作成プロセスとして、Siデバイスを作成するうえで不可欠となっている。
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