半導体用語集

スチーム酸化

英語表記:steam oxidation

熱酸化を行う際、酸化剤としてH20または不活性ガスで希釈したH20 を使用する酸化方法はスチーム酸化と呼ばれている。
スチーム酸化を用いると、酸化膜中の拡散係数や、Si基板と酸化膜との界面における反応係数がH20の方が 02よりも大きいために、酸化速度の増加がみられる。したがって、スチーム酸化は酸化時間の短縮または酸化温度の低下に利用されている。スチーム酸化のもうーつの利点は、酸化膜の粘性を増加させる点である。ゲート絶縁膜形成の際に、素子分離領域の近傍でSi基板に生した凹凸の影響で、ゲー ト絶縁膜厚が薄くなる (thinning) 現象がある。スチーム酸化を用いると、酸化膜の粘性が増すためにこのthining現象が抑制でき、ゲート酸化膜の経時絶縁破壊耐性を向上させている。特にゲート酸化膜が薄膜化するほどこのinning抑制効果は重要になってきている。スチーム酸化と類似の酸化方法としては、H2Oと02との混合ガスを用いるwet 02酸化、H2と02とを酸化炉の外で燃焼させて発生させたH20を用いる水素燃焼酸化(バイロジェニック酸化)とがある。いずれもスチーム酸化と同様の効果がえられている。 一方、酸化の際水分をいっさい含まない酸化方法はドライ酸化と呼ばれている。スチーム酸化を用いて形成した酸化膜は経時絶縁破壊耐性に優れている反面、膜中にH基やOH基を多く含んでいるために、電子をトラップしやすく、ホットキャリア注入によってMOSトランジスタのしきい値が変動しやすいという欠点も持っている。


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