半導体用語集

ゲッタリング

英語表記:gettering

シリコンデバイス事業には、ます最先端技術の絶えざる開発が要求され、さらにその成果を事業化するための製造技術・量産技術の確立が不可欠となる。とりわけどの世代にあっても歩留りを維持・向上させることが宿命であり、シリコンデバイス事業は、まさに歩留りとの絶えまない戦いの歴史であるといっても過言ではなかろう。新しいプロセス技術の導入やデバイス構造の提案は、デバイスの性能を確実に向上させてきたが,それと同時に、Fe、Cu、Niなどの好ましからざる重金属不純物汚染の機会が増大し、またデバイスの局所的な歪の増大を招いた。重金属不純物は歪のある電気的に活性な場所やゲート酸イ凵莫に局在しやすく,歩留り低下の大きな要因になる。重金属不純物を根元から除去するクリーン技術はもとより重要であり、いっそう推進しなければならないが、一方、このような有害重金属不純物をデバイス形成領域から除去し、それ以外の場所に捕捉(ゲッタ)するゲッタリング技術は、デバイスの歩留り・信頼性向上に今日なくてはならないものとして、キーテクノロジーの一つになっている。現在ゲッタリング技術は大別して二通りある。ウェハに外部から歪場や化学的作用を与えてゲッタリング効果をもたらす工クストリンシックゲッタリング(EG)とウェハの内部に生成された酸素が関与する格子欠陥の歪場を利用するイントリンシックゲッタリング(IG)がある。
EG法によるゲッタリングとしては、PやBを含む裏面のガラス層が重金属不純物をゲッタし、pn接合特性を改善させるとしたのが最初である。ウェハ製造工程の途中で裏面に Si02やA1203の砥粒液をノズルから高圧で噴射させて機械的損傷を与えるサンドプラスト法による裏面歪づけ (Backside Damage : BSD)法は今日でも用いられている。BSD法による歪場は高温の熱処理プロセスやエピタキシャル膜成長プロセスで緩和されやすい。
この他、ウェハ裏面に多結品シリコン膜を堆積したPBS (Polysilicon Back Sealing) 法も有力なEG法である。この場合は、多結晶シリコン膜の粒界(グレイン)にできる歪場や格子不整合による歪場がゲッタリング源になるが、デバイスプロセスでの熱処理によりグレインが単結品化する場合があり、ゲッタリング能力が失われやすい。多結品シリコン膜の堆積条件、膜厚、プロセスの熱処理条件がゲッタリング能力に大きく影響する。また POC13を用いて高濃度のpをウェハ裏面から拡散するリンゲッタはデバイスプロセスで用いられている。IG法はシリコンウェハ中で析出した酸素がバンチアウト転位を形成し、そこにCuが捕捉されることで発見された。この当時、内部に結晶欠陥のないウェハを工ッチングすると、その表面がくもり、一方、内部に結晶欠陥のあるウェハでは、工ッチングしてもくもりのないきれいな面がみられることは現場でしばしば経験していた。IG 法はプロセスとの整合性もよく、デバイス微細化の進行とともに実用化は拡 大している。IG法は酸素析出や徴小欠陥の挙動、制御についての基礎的な研究や酸素濃度を制御する結晶成長技術や処理技術の開発があって実用化が大いに進展した。
初期のIG法は、デバイスごとに経験上適当だと思われる酸素濃度の範囲をあらかじめ設定しておき、デバイスの熱処理プロセスを利用してゲッタリング源を作りだす、いわゆるprocess induced IGが主流であったが、これには限界があった。実用的にはウェハが受ける結晶成長時の熱履歴によらず、使用しうる初期酸素濃度の範囲を拡大し、さらに酸素析出を均一化することが重要である。あらかじめ高温熱処理を施して酸素をウェハ表面から外方拡散させて無欠陥層(Denuded Zone: (Z)を形成し,同時にサイズの不揃いな不均一核を均一にする。続いて低温から昇温してサイズ、密度の均一な析出核を形成し、最後に中温で酸素析出を行って均一なIG源を形成する。これが基本的なDZIG法である。
今日、 IG法はさらに進展し、計算機シミュレーションによる析出密度やサイズの予測とFeやNiに対するきめ細かな実験を組み合わせてゲッタリングの予測ができるようになってきた。ゲッタリングのモデルもはば確立している。微細化の進展により高平坦度ウェハと低温プロセスが必須となった。そのためエピタキシャルウェハの重要性が増し、IG法が不可欠となっている。
低温プロセスでのIG法の最適化が望まれる。p/p+やp/p++エピウェハは Fe-Bの結合により容易にFeゲッタリングされる。


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