半導体用語集

トンネリング

英語表記:tunneling

 酸化膜における真性のトンネル電流は、Fowler-Nordheimトンネル電流と、電極間の直接                              (direct) トンネル電流が考えられている。前者はしばしばFNトンネル電流といわれ、入射側の電界で決まる電界放出トンネル電流である。現実的には5nm以上の膜厚ではFN電流、3nm以下では直接トンネル電流が主要になってくる。FNトンネル電流では、具体的には電界で曲げられた三角ポテンシャルのトンネルを考えることになる。
シリコンと酸化膜の間のバンド不連続量は電子にとって3(eV)以上あり、電界によるショットキバリアロウアリング、あるいは有限温度効果とかはあまり大きな影響を与えずに、酸化膜中での電子の有効伝導質量とバリアハイトをパラメータとして与えると、実験結果は比較的再現性よく表現される。FNトンネル電流においては高いバリアハイトの結果として、薄膜領域の特に低電圧領域では原理的にその成分は存在しない。一方、直接トンネル領域では、厚膜においてもトンネル確率は小さいが、原理的にトンネル確率が0になるというものではないことには注意しなくてはならない。つまり、この両者が混在するような膜厚領域ではバイアス条件を考慮しながら両者の存在を注意して取り扱う必要がある。FNトンネル領域にしても、有効質量の意味合いとか、界面でバリアが原子レベルでシャープに形成されているかなどに関してはいまだよくわからない部分もあるが、直接トンネル電流の場合にはFN電流にくらべて、定式化がさらに難しい。直接トンネル電流の場合には、量子力学のトンネル計算そのものと考えられるが、現実的な系として、I-V特性を定式化するのには多くの情報が必要になる。実際、両側の電極の効果、トンネル中での電子の質量の意味合いは難しく、また電流が流れている状態で半導体の表面電位を決めることになる複雑さがあり、現状では特に低電界側のI-V特性の定量性があまり再現されていない。今後の3 nm以下の酸化膜厚を考慮するときわめて重要な部分といえる。上記真性のトンネル以外に、酸化膜中に飛び石としてのサイトがあるとトンネル確率は上昇する。これをトラップアシストトンネルと呼び、外因的な要因によるリーク電流として観測される。

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