半導体用語集
パターンシフト
英語表記:pattern shift
バイポーラデバイスなどでは、埋め込み層上にエピタキシャル成長したウェハを使用する。パターンが形成された基板にエピタキシャル成長させると、エピタキシャル成長後の表面パターンは成長前のパターン形状・位置も異なる場合があり、これをパターンシフト(図1)という。パターンシフトがあると、表面パターンを基準にして 後工程で形成されたパターンと、埋め込み層との間にずれが生じ、それが大きい場合には本来電気的結合を取るべき部分で結合が取れない、またはその逆が起こるなど、デバイス不良を起こす。通常、後続工程のマスクはパターンシフト量を見込んで設計されており、このような不良を回避している。パターンシフトの原因は成長速度の 面方位依存性にある。パターン形成部では基板面方位とは異なる面方位が露出している。それら面方位間での成長速度差がパターンエッジステップの変位となり、パターンがシフトする。パ ターンシフトは面方位での成長速度差に起因するため、成長速度差と形成膜 厚でシフト量が決まる。半導体産業で使用されるウェハ面方位はそのほとんどが100)面と (111)面であるが、パターンシフトは (111)面の方が大きい。これは、 (100)面は4回対称のため、矩形パターンでは、パターン形成で露出する面が等価になり、ほぼ同一の成長速度になるからである。実際には基板面方位に(100)面からの若干のずれが製造段階で生じるために、わずかではあるがシフトする。これに対し, (111)面は3回対称のため、矩形パターンで露 出する面が等価にならない。そのため各面が異なる成長速度を持ち、パターンシフトが生ずる。(111)面が最密面で原子ステップがなく、異常成長を起こしやすいため、実際の製造には (111)面から<110>方向に3~5度程 ずらした面方位が使用されている。この場合は原子ステップがあるため異常 成長は防止できるが、異方成長は残るためパターンシフトは存在する。成長速度の面方位依存性はエピタキ シャル成長条件で異なる。パターンシフトを抑制するには、成長温度の高温 化、成長圧力の低圧化、成長速度の低 速化、および原料ガスとしてCI を含 まないガス(SiH4)の使用などが効果的である。
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