半導体用語集
マルチチップパッケージ
英語表記:Multi Chip Package: MCP
複数のチップを1個に収納したパッケージ。大きくは1つのパッケージまたは基板上に複数のチップまたはパッケージを搭載するMCM(Multi Chip Module)に属する。
数多くの電子部品を集めて電子回路を構成する最終製品では,パッケージはそのうちの一部でしかない。全機能が1チップで構成できれば,パッケージはこれを収納するものが1個あればよい。1チップで構成される電卓などはその典型である。しかし実際の製品は,1パッケージに1チップが搭載された汎用部品や専用部品を組み合わせて製作される場合がほとんどである。このうちの複数個を1パッケージに収納したものがマルチチップパッケージである。
マルチチップパッケージの長所をあげると,搭載した複数チップで共通に使用するピンを一つの外部端子に集約することができる(ピン数削減),複数チップを個々のパッケージで基板に搭載するよりも基板の占有面積を低減することができる(高密度実装),複数パッケージの実装よりも実装コストを低くできる(低コスト)などがある。
短所は,組立歩留りの面が大きい。シングルチップパッケージの場合,組立後のチップ不良はそのパッケージのみを不良として取り扱うため,その後に良品との置き換え(リペアという)が可能である。しかし,マルチチップパッケージでは組立不良やチップの初期不良が1チップで発生した場合,これの1バッケージに搭載されたすべてのチップが不良として取り扱われるため不良率が上がる。このためダイソート(ウェハ状態でのチップの不良選別)後の不良率が高いチップにはマルチチップパッケージは不向きである。
マルチチップパッケージの外形は,通常は挿入型または表面実装型パッケージの形態である。内部の構成としては,リードフレームに複数チップを搭載したもの,リードフレームに複数チップと配線用基板を搭載したもの,基板またはテープに複数チップを搭載したものなどがあげられる。従来はパッケージ内部で平面上に重ならないようにチップを配置していたが,近年は実装密度の向上のため,チップを重ねることでパッケージの面積縮小を図ったバッケージが開発され,携帯電話などの小型機器に使用されている。
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