半導体用語集

ミスフィット転位

英語表記:misfit dislocation

 高濃度にB(ホウ素)などを添加したシリコン結晶基板上に不純物濃度の低いエピタキシャル膜を成長させた時、界面で格子定数のミスマッチが一 定値を超すとエピタキシャル層と基板の界面にミスフィット転位が多発する。{100}面では4回対称の、{111}面では6回対称のクロスハッチ状に長い転位線が生じる。エピタキシャル膜厚が厚くなると、ある厚さ以上でミスフィット転位が発生し、いわゆる臨界膜厚が存在する。一般にシリコンのホモエピタキシャル膜では、臨界膜厚は数μmから10数μmである。転位密度は数100 本/cmと高密度で発生することが多い。表面側から高濃度の不純物拡散を行った場合にもミスフィット転位が多発する。これらはシリコンでは60°転位である場合が多い。転位の観察にはX線トポグラフィがよく用いられる。同じ濃度の不純物をドープした場合には、不純物原子とシリコン原子の共有結合半径の差が大きいほどミスフィット転位が発生しやすくなる。たとえば、Siとの共有結合半径の差が小さいAsの高濃度ドープ基板を用いたエピタキシャル成長では、ミスフィット転位が発生することはほとんどない。
 ミスフィット転位の発生はvan der Merweらによって理論的に予言され、後に実験的に存在が確認された経緯がある。現在でもシリコン結晶中の共有結合半径がSiと大きく異なる不純物の濃度から決まる格子定数に対して、van der Merweが与えた理論計算によりミスフィット転位発生の臨界膜厚を予測でき、無転位ウェハ製造に必要な下限膜厚を設定できる。たとえばホウ素を添加したp/p⁺エピタキシャルウェハでは基板の比抵抗が10mΩ・cmの時、臨界膜厚は2.5μmとなる。実験的には不純物濃度の高い基板からエピタキシャル膜への拡散により界面の歪エネルギーは小さくなるため、理論で与えられる臨界膜厚よりも厚い膜厚でミスフィット転位が発生する。
 エピタキシャルウェハに意図的にミスフィット転位を発生させて、金属不純物のゲッタリングを行うことも可能である。

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