半導体用語集
リフロークラック
英語表記:package cracking during reflow soldering
表面実装型のプラスチックパッケージが,マザーボード上にはんだで実装するために高温に曝された時に割れる現象。原因は,保管時に吸湿によりパッケージ内に取り込まれた水分が加熱され,パッケージ内部の剥離面に水蒸気圧として作用するためである。
耐リフロークラック性は,あらかじめ吸湿させておいたパッケージに実装時を模擬した熱履歴を与え,クラックしたかどうかで判定される。耐リフロークラック性のレベルは,どれだけの吸湿に耐えられたかで決まる。レベルごとの吸湿条件は,JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council:電子デバイス技術委員会)では,レベル1~レベル6と分類している。レべル1は85℃/85%RH,168h,レベル2は85℃/60%RH,168h,レベル3は30℃/50%RH,192h,レベル4は30℃/60%RH,96h,レベル5は30℃/60%RH,48または72h,レベル6は30℃/60%RH,6hである。
クラックの確認には,外観検査,パッケージ断面の観察,超音波探傷装置による内部観察が用いられる。最近は耐リフロークラック性が向上してきたため,判定基準がより厳しくなり,クラックにまでは至らず剥離でとどまっている場合でも不可とするユーザーも増えてきている。
リフロークラック対策は,水蒸気圧を低減させることとパッケージ内部界面の剥離を低減させることに分かれる。前者を目的とした低吸湿樹脂開発が行われており,ビフェニル系の樹脂がその例である。後者では,リードフレームとの密着性が高い樹脂の開発の他,ダイパッドにスリットを入れたり,中央部を窓状に開口するなど,密着性の低いダイパッド部分の面積を低減させるような構造も採用されている。
リフロークラックの発生状況は,パッケージ種類(主なパラメータは,パッケージ形状と部材,チップサイズ,内部剥離の状態),吸湿量リフロー温度と回数によって変化する。シミュレーションにてクラック発生の有無を予測することが可能であり,パッケージの構造,部材物性値の最適化が行われている。
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