半導体用語集

ワイヤボンディング装置

英語表記:wire bonder

 半導体チップ上の電極(パッド)とパッケージの外部引き出し用端子(リード)を金属細線で接続する装置。ワイヤボンダともいう。微細な電極に金属細線を1本ずつ接続することから,組立工程の中でも最も高い信頼性を要求される。
 ワイヤボンダは,接合プロセスによって,ボールボンダ(ball bonder,ネールヘッドボンダ(nail-head bonder)とも呼ばれる)とウェッジボンダ(wedge bonder)の二方式に大別される。さらに,ボールボンダは,加熱のみで圧着する熱圧着ボンダ (thermo compression bonder)と,超音波を併用する超音波熱圧着ボンダ(thermo sonic bonder)に分かれる。近年は,低温かつ低荷重で高信頼性がえられ,スループット面で優位な超音波熱圧着ボンダが主流である。ボールボンダは,φ15~50µm程度の金線を使用し,キャピラリと呼ばれるツールを通して先端部にボールを形成して圧着するために,結線方向に制約を受けないことが特徴である。一方,ウェッジボンダは,常温で超音波振動のみで圧着する方式で,アルミ線が使用される。ウェッジボンダは専用の金属ツール(ウェッジ)で,ワイヤを押しつけるように接合するために,ワイヤを張る方向と超音波振動の方向を合わせる必要があり,ワークまたはヘッドに回転機構が付加されている。
 一般的なボールボンダの装置構成は,ワークの供給と位置決め固定および収納を行う搬送部,ツールの上下動やワイヤのコントロールを行うボンディングヘッド,ヘッドの移動を行う金線供給部,金線の先端にボールを形成するための高圧放電部,配線電極を高精度で位置決めするための画像認識部,また超音波使用の場合は超音波トランスデューサなどから構成される。ボンディングヘッドの上下(z)駆動およびXYテーブルは,サーボモータで位置制御され,ワイヤのプロファイル(高さ,形状など)が自在にコントロールされる。従来のXYテーブルは,ボールねじ駆動z駆動は回転モータが主流であった。しかし,最近では高速化に伴い,機械的接触がなく,振動,発塵の軽減とメンテフリー化も狙ったリニアモータ駆動に移行しつつある。
 全自動ボンダではこれらのワークの取り出し,位置決め,加熱,認識,ボンディング動作,収納までを連続的に全自動で処理し,標準的仕様では総合精度±10µm,1配線当たりの処理時間0.1~0.2秒程度のものが主流である。全自動ボンダの代表的なメーカーは,海外ではK&S社,ESEC社,国内では新川,カイジョーなどがあげられる。
 加工品質のポイントは,接合性,ルーピング性,ボンディング精度であり,特に接合性においては,衝撃荷重のコントロール性,超音波特性などが重要である。特に超音波ユニットはこれまで60kHz程度が主流であったが,デバイスの微細化,低温プロセス化(パッケージの多様化)に伴い,高周波(100~120kHz程度)化する動きがある。
 ウェッジボンダの装置構成は,ワークまたはヘッド回転機構を付加していること,ボールを形成しないために高圧放電部がないこと,などを除き,ほぼボールボンダと同様な構成である。ただし,ボンディングヘッドは,使用するアルミ線の太さ(細線,太線)によってワイヤカット機構に若干の違いがある。回転機構は,ワーク側を回転する形態とボンディングヘッドを回転する形態に分かれる。前者の方が,機構がシンプルで小型である。後者の方は,やや大型だが搬送部の制約を受けないために大型基板用途などに使用できる。


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