半導体用語集
不純物伝導
英語表記:impurity conduction
不純物を添加した半導体で,不純物原子に局在する電子(または正孔)が不純物原子の間を渡り歩くために生ずる電気伝導をいう。極低温領域で観測される現象で,不純物密度によって著じるしく変化する。不純物密度が低い(たとえば,ガリウムヒ素で10¹⁶cm⁻³以下)時には,電子(または正孔)は,ドナー(またはアクセプタ)原子に局在するため,温度の低下に伴って,熱励起されていた電子(正孔)の数が急激に減少し,半導体の伝導率は減少していく。しかし,不純物濃度が高くなると,不純物原子のまわりの電子(正孔)波動関数が相互に重なるため,電子(正孔)の波動関数は,量子力学的共鳴により多数の不純物原子の間にひろがり,そのエネルギーは連続的な不純物バンドを形成する。このような状態では,半導体は低温においても有限の伝導度を示すようになる。このような伝導を不純物伝導と呼ぶ。
一般に,不純物による不規則ポテンシャルの効果で,不純物バンドの底部には波動関数が局在して(アンダーソン局在),移動度が0の領域ができる。この領域とエネルギーが高く,波動関数が結晶全体に広がった領域との境界Ecを移動度端という。中間濃度領域では電子系のフェルミ準位EFがEcの下にあり,電流は移動度端の上に熱的に励起された電子により運ばれる。不純物濃度が高く EF>Ecになると伝導は金属的になる。不純物濃度を増すと,EFがEcを通過する点で伝導率の急激な増加がみられる。
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