半導体用語集
トンネル効果
英語表記:tunneling effect
電子の波動性が顕在化する現象の中で最も代表的なものの一つがトンネル効果である。ポテンシャル障壁高さよりも小さなエネルギーを持った電子は,古典的には障壁を通過することはできない。しかし,量子力学的には電子の波動関数は障壁中に滲み出し,障壁が十分薄い場合には,ある確率で障壁を透過し,反対側の電極に到達することができる。このような効果をトンネル効果という。固体中のトンネル効果は,まず高濃度にドーピングされたpn接合ダイオードや金属-絶縁物-金属構造,ジョセフソン素子などにおいて観測されたが,1970年のEsakiらによる半導体超格子の提案以来,半導体超薄膜へテロ構造を用いたトンネル効果の物理と応用に関する研究が活発に行われてきている。
半導体超薄膜へテロ構造では,トンネル障壁の高さや厚さなどのパラメータをほぼ任意に実現することができるので,トンネル現象の物理の理解のみならず,それを制御して様々なデバイス機能の実現が可能である。特に二重障壁構造を用いた共鳴トンネルダイオードでは,優れた微分負性抵抗が実現されており,超高速発振器や検波,スイッチへの応用が考えられている。また,薄いポテンシャル障壁で隔てられた多重量子井戸構造は超格子と呼ばれ,障壁中に滲み出した波動関数が互いに相互作用しあい,狭いバンド(ミニバンドと呼ばれる)を形成する。このミニバンドはcos関数的な分散を有し,負質量領域がある他,ブリユアンゾーン端におけるブラッグ反射によりブロッホ振動などの特異な物性が期待されている。
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