半導体用語集

内部応力

英語表記:internal stress

外力に依存しない固体内の応力のことをいう。真空蒸着、スパッタリング、気相成長などで作製した薄膜中には、構造欠陥が存在するため、その成膜条件に依存して107 ~ 109N/ に達する内部応力が存在する。 基板面に垂直な単位断面積を通して薄膜断面の一方の側が他方の側に及ほす力が引っ張る方向である時を引っ張り張力といい、その符号を一般に正に、また逆に及は、す力が押す方向そある時を圧縮応力といい、その符号を一般に負に取る。内部応力を緩和するために薄膜内では原子輸送が起きることもある。 この現象は、LSI配線では電流を流さなくても高温保持試験や使用中に断線するストレスマイグレーションとして知られている。 Si02/Si界面でSi基板に結品欠陥が誘起される原因もこの応力にあるものと考えられている。内部応力は、このように薄膜の耐久性ばかりでなく薄膜を利用したデバイスの信頼性に大きく影響するので、その値を小さくすることが望まれる。薄膜の形成過程を熱平衡に近づけることで、これは可能となる。多層膜の場合、符号が逆の内部応力を各層に発生させることで、みかけの応力を小さくすることも可能である。観測された内部応力から、熱に起因した熱応力を差し引いた残りの応力を、真の内部応力と呼ぶ。真の内部応力は構造欠陥の密度分布などが膜厚方向に変化しているために生したものであり、形成方法に依存した薄膜固有の性質を示している。


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