半導体用語集
ホイスカ
英語表記:whisker
ウイスカともいう。ホイスカの本来の意味は「猫のひげ」である。直径数 µmの線状の結晶ことをいう。黄銅,銅などにSnめっきを施すとめっき表面から発生し,全長が数mmに達することもある。リードフレームの外装処理にSnめっきを施した場合やキャリアテープのリードにSnめっきを施した場合,ホイスカが発生し,となりのリードと接触すると電気的に短絡となるため問題となる。
ホイスカの発生メカニズムは明確になっていない。しかし発生箇所は転位
(デスロケーション)の位置であること,めっきの内部応力が大きいと発生しやすいことから,ホイスカはめっき内の応力緩和現象と考えられている。
ホイスカの発生は母材の種類に影響され,黄銅,銅などが母材だと発生しやすい。発生を防ぐ対策は,SnにPbを5~20wt%添加させること,めっき後に加熱処理(100~125℃)すること(めっきの応力緩和処置),母材に対してNiを下地めっきすることがあげられる。
リードフレームの外装めっきは,SnからSn/Pbに変更することでホイスカの発生を抑えている。キャリアテープのSnめっきされたリードでは加熱処理(100~125℃)することでホイスカの発生を抑えている。
ホイスカの発生は電気的に短絡を発生させるため,リードピッチの微細化に伴い大きな注意を払う必要がある。
ホイスカはSn以外にもFe,Cuなど金属,合金からも結晶成長する。ホイスカ自身は単結晶であるため,完全結晶の理論的な強度に近く,通常の材料の数10倍から100倍の強度がある。この特性を生かすためホイスカをプラスチックや金属に混入して複合材料として利用することが試みられている。
ホイスカは結晶構造が完全結晶に近いこともあり,結晶組成の研究にも用いられる。半導体パッケージの組立からみれば,ホイスカとは厭わしい存在であるが,別の観点では結晶構造が完全結晶に近いことから,学術的な研究に広く使用されたり,高強度の複合材料として研究,開発され,新規高強度材料となりうるため期待が寄せられている。
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