半導体用語集
加速電圧
英語表記：acceleration voltage
電子銃から電子を引き出すために、 電子銃と引き出し電極間に印加される負の電圧を加速電圧という。引出電圧により加速されたイオンに、所定のイオンエネルギーを与えるため加速管に印加する電圧。イオンエネルギーは加速電圧と引出電圧の総和及びイオンの価数によって決定される。電子ビーム描画装置においては、電子ビームはこの電圧で加速されて電子光学鏡筒内をドリフト的に移動し、試料面に到達 する。すなわち、電子の持っ運動エネルギーと、電子が試料に入射する時のランディングエネルギーとは等しい。このランディングエネルギーを指して加速電圧ということもある。高い加速電圧では、ビームを細く絞ることができる。また、入射電子のレジスト中での前方散乱は加速電圧が高 いはど小さいため、徴細パターンの形成には、一般に高い加速電圧が有利である。しかしながら、高加速電圧では、単位長当たりに物質に付与する工ネルギー量が小さくなるため、レジス ト感度が劣化する他、電子ビームの工ネルギーが物質中で熱に変換されることから、レジストヒーティングが顕著となる。また、近接効果の及ぶ範囲が広くなる。一方、低加速電圧は、レジスト感度の向上、近接効果の低減が長所としてあげられる。しかしながら、ビーム電流を増やしていくと、電子同士の電気力による反発(クーロン効果)がより発生しやすく、ビームを細く絞ることが難しい。また、周囲の電磁場の外乱にピームが影響を受けやすいといった欠点があげられる。
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