半導体用語集

反応性スパッタリング

英語表記:reactive sputtering

 高周波スパッタリング装置によって,Si0₂,Al₂O₃,Si₃N₄,TiO₂,ガラスなどの蒸気圧の低い絶縁体の薄膜が,比較的容易に作製できるようになった。しかし,ターゲットに化合物を用いて膜作製をする時にできる薄膜の組成は,ターゲットの化合物の組成からずれてくることが多い。たとえば,SiO₂のような酸化物のターゲットを用い,Ar雰囲気の高周波スパッタリングを行うと,一般に薄膜の組成は酸素の足りない状態になる。これはターゲットからスパッタされた酸素が一部排気され,有効酸素分圧が低くなるからである。このため,O₂をAr中に適当に混合し,不足するO₂を補い,ターゲットと同じ組成の薄膜を作るように調整するのが普通である。この方法をさらに進めて,ターゲットに金属を用い,積極的に放電ガスの中に活性なガスを混合し,スパッタを行うことにより,酸化物の他に窒化物,炭化物,硫化物,水素化物などの薄膜も作製でき,その組成や性質も制御される。この方法を反応性スパッタリングという。スパッタリングには,直流,高周波の両方のスパッタリング法が用いられる。絶縁体薄膜の作製では,高周波によることが多い。反応性スパッタリングで化合物薄膜が形成される過程は,主に基板に到達したスパッタされた原子と活性ガスが基板上で反応し,生成されると考えられているが,活性ガスの導入量を増やしていくと,膜の析出速度がある分圧以上で急に小さくなることから,放電ガスの雰囲気中に活性ガスを導入しているために,ターゲット上でも反応が起きることが知られている。


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