半導体用語集
固定電荷
英語表記:fixed charges
MOSキャパシタのC-V(ゲート容量特性)特性が、理想値からどの程度ずれているかで固定電荷量を決める。酸化膜中に正のチャージQfが存在すると、ゲート電圧に対して負の方向にC-V特性がシフトする。ドライ酸素雰囲気での酸化の場合、酸化温度が高いほどQfは小さいが、また酸化終了後の酸化温度での非酸素雰囲気でのアニールを施すことで、酸化温度によらないある一定のQfになる。一方、非酸化性雰囲気アニールで低いQfになっていても、その後また酸化してしまうと高い値に戻ってしまい、アニールと酸化は可逆的であることが報告されている。このMOS開発の初期に発見された関係は “Dealの三角形” と呼ばれる関係である。固定電荷にも基板面方位依存性があり、(100) 面において最も小さい値がえられる。同様の振るまいが界面準位に対しても実験的にえられることが報告されている。逆に固定電荷と界面準位の区別を原理的にいうのは難しい。界面準位は、電荷のやり取りを基板Siとできる準位であるから、C-V 特性でいえば、シフトさせるだけでなくC-V 特性のカーブを歪ませる。界面準位はシリコンのバンドギャップ内準位と対応するものであるから、フェルミ準位をゲート電圧によって変えることによって界面準位におけるキャリアの占有率が変化し、Cの値自身が変化してしまうので、C-V 特性の形が変化してしまう。一方、固定電荷はフェルミ準位の変化によっては変化しないような準位といえる。酸化膜厚を変えた実験などから、固定電荷もシリコン基板界面のそばにあることがわかっており、界面準位と起源の差はあまりないとみる考え方もある。つまり、ギャップ内にある準位が界面準位として働き、ギャップの外にある準位が固定電荷として働いているとみることができる。これらの構造的起源がどこから生ずるかであるが、SiO₂中で考えられる欠陥として、いわゆるtrivalent Siとnon-bridging oxygen が考えられる。ともに正の酸化膜中トラップとして働くと考えられるが、trivalent Siに関してはESRの結果から、ミッドギャップにおける界面準位との相関がみとめられており、non bridging oxygenの方が妥当であるとも考えられているが、いまだ議論の多い部分でもある。この他にも界面での結合の歪が準位を作ることは十分予想されるが定量的にはまだ明らかでない。
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