半導体用語集

強誘電体材料

英語表記:ferroelectric material

強誘電体は焦電、圧電、電気光学効果など数多くの特徴を有する材科が多く、各分野でその応用が期待され、実 用化されている。強誘電体は「自発分極を有し、その分極が電界によって反転できる」という特性で定義されている。強誘電体メモリはその性質を利用し強誘電体キャパシタの自発分極の方向がどちらの電極に向いているかで“1”、“0”を判定する。現在盛んに研究開発が進められている強誘電体材料は、PZT (PbZrxTil-x03)系強誘電体とSBT (SrBi2Ta209)をはじめとするBi系層状構造強誘電体である。 PZTはペロブスカイト型の結晶構造を持つ酸化物強誘電体で、格子の中心にあるTi (または(Zr)が格子の体心からずれることにより分極が発生し、電界により相対的に変位することにより分極の方呵な変わる。強誘電体はキュリー温度という相転移点を持ち、キュリー温度以上では常誘電体になるためキュリー温度は動作温度より十分大きい必要がある。PZTとSBTのキュリー温度はそれぞれ450℃前後と 310℃前後である。強誘電体メモリに要求される強誘電体材科の特性は、一般的には次のような項目があげられる。
 (1)残留分極 (スイッチング電荷量) が大きい。
 (2)抗電圧 (抗電界) が小さい。
 (3)相転移温度 (キュリー温度)が高い。
 (4)結晶化温度が低い。
 (5)耐環境性 (水素や熱) が優れている。
必要な残留分極の大きさはデバイス構造や回路設計値により異なるが、高集積化に対応していくには最低10 μC/cm2程度の値が要求されるだろう。また、低消費電力化を実現するためには、この値を低電界で発生させる必要があることから抗電界が小さい材科の方が好ましいといえる。しかし、この抗電界は単に膜中の分極の和が0となる時の外部電界の値であり、駆動電圧の一つの目安にすぎす厳密には分極の飽和特性(後述)により検証する必要がある。次に、既存のシリコンプロセスとの整合性という観点から結晶化温度は低い方が好ましい。主な強誘電体材料は結晶膜であり、強誘電性を持つ結晶構造をえるためにはその材料で決まる限られた温度範囲での熱処理が必要となる。この温度が高ければ相互拡散などにより下地CMOSレイヤに悪影響を与えるおそれがある。結晶化温度が低い材料はキュリー温度も低い材料が多い。現在研究されている材料は結晶化温度が500~800℃の材料が主流である。


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