半導体用語集

抜き取り検査

英語表記:sampling inspection

 抜き取り検査は,母集団から一部を抜き取って調査し,その結果を判定基準に照らして,母集団の合格,不合格を判定する検査である。半導体製品では,母集団をロット,母集団から抜き取った一部をサンプルと呼ぶ。
 抜き取り検査は,1930年代にベル研究所のDodge H.F.とRomig H.F.が最初に提案した。
 抜き取り検査は,ポアソン分布(Poisson distribution)で近似する。不良率Pのロットからn個のサンプルを抜き取り検査した結果,r個の不良が発生する確率P(r)は,サンプル数nが大きく(たとえば,n≧50),かつ不良率Pが小さい(たとえば,P≦0.1)場合に,次式(下部画像参照)となる。 '

 ポアソン分布は,不良数の平均nPと不良数rで構成されるので,合格判定個数c(r≦c)をパラメータとして,縦軸をP(r),横軸をnPとした曲線がえられる。この曲線を,ソーンダイク・ハガ曲線(Thorndike-Haga curve),またはポアソン累積チャートという。
 合格判定個数cとは,不良数rがある値c以下であれば,そのロットを合格とする時の値cである。合格判定個数cをロットの判定基準ともいう。ロットからn個のサンプルを抜き取り,この時の不良数がr個の時に,r≦cならばロットは合格,r>cならばロットは不合格となる。
 サンプル数nおよび合格判定個数cを決めると,ポアソン分布またはソーンダイク・ハガ曲線を用いて,横軸に不良率P,縦軸に不良率Pに対するロットの合格確率をとったグラフがえられる。グラフをOC曲線(Operating Characteristic curve;検査特性曲線)という。
 OC曲線は,AQL,生産者危険(α),LTPD,消費者危険(β)の4項目が重要である。4項目の意味を説明する。
(1)AQL(Acceptable Quality Level;合格品質水準):なるべく合格としたいロットの不良率の上限
(2)生産者危険(α):AQLと同一不良率のロットが不合格となる確率
(3)LTPD(Lot Tolerance Percent Defective;ロット許容不良率):なるべく不合格としたいロットの不良率の下限
(4)消費者危険(β):LTPDと同一不良率のロットが合格となる確率
 
 サンプル数nおよび合格判定個数cを決めると,OC曲線は一つに決まる。どの程度の不良率ならば,どの程度の確率でロットが合格するかが分かる。すなわち,OC曲線によって,抜き取り検査方式の性能が判断できる。


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