半導体用語集

故障モード

英語表記:failure mode

 故障モードは外に現われた故障の形態をいう。一方,故障メカニズムは内に隠れた機構を指す。したがって,具体的に何を指すかは,観察者の視点に依存する。半導体デバイスの場合,通常はデバイスができあがった状態を外からみた視点と内部構造にまで立ち入ってみた視点が混在している。
 半導体デバイスを外からみた際の故障モードは,(1)オープン,(2)ショート,(3)リーク,(4)機能(ファンクション)不良,(5)電源電流不良,などである。ショートとリークの違いは前者が抵抗性であり一般に電流値が大きいことである。
 電源電流不良に属するが,最近特に注目を集めているモードにIDDQ不良がある。CMOSデバイスでは通常,電源(VDD)とグランド(GND)間に静的に流れる電流(IDDQ)は接合リーク起因のものだけであるため微少である。物理的欠陥が存在し電流経路あるいはその原因を構成するとIDDQが増加する。物理的欠陥が電流経路あるいはその原因を構成するためには,テストパターン(テストベクタ)により,関連する電位をある特定の状態に設定する必要がある場合が多い。このことから,IDDQを増加させるテストパ ターンを考察することで,物理的欠陥の位置の推定も可能である。IDDQ不良の故障モードとしての特徴は,IDDQが増加することとデバイスの機能不良が必ずしも一致しないことである。また,IDDQの増加は内部の異常が即時に現われるのに対して,機能不良は通常遅延して現われるなどといった違いもある。このように観測の観点が異なるため,通常の機能試験のみではテスタピリティの限界から検出できない不良の検出も可能である。また,従来の電位のみに基づいた方法よりは,効率よく故障個所を推定することも可能である。


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