半導体用語集

熱圧着ワイヤボンディング

英語表記:thermo compression wire bonding

 接合しようとする金属細線(一般的にはAu)およびその対象物(一般的にAlあるいはAu)に対し,熱と圧力を加え,その境界面に塑性変形を与えることで接合部での酸化膜破壊,および表面の活性化を促し,両金属間の拡散接合によって金属間化合物を形成し,接合させる方法。TC(Thermo Compression)法とも呼ばれている。加熱温度は,300~350℃である。金属細線(Auワイヤ)の線径は,通常25~30µmが使用される。ボール形成の方法としては,酸水素トーチ,電気トーチと二通りあるが,電気トーチによるスパークでAuを溶融させる方法が主流である。ボール形成の次に,キャピラリィを降下させ,キャピラリィ下面によって,ボール状となったAuを素子上に形成されたAl電極に加圧すると,Auボールは塑性流動を起こしつつAl電極と接合される。素子上の電極への接合を終えたら,インナリードヘの接合を行う。キャピラリィをインナリード側へ移動させ,Auワイヤをキャピラリィ下面によって押し潰し,インナリード表面に熱圧着する。
 一般的に,素子上のAl電極への接続部をボールボンド部,インナリード側に接続された部分をウェッジボンド部と呼ぶ。300~350℃という高温下での圧接であるため,金属間で拡散結合しやすく,圧力のみで接合できるが,反面,ダイボンド接着部,ガラエポ基板などパッケージを構成する材料がこの高温度に耐えることが必要である。このため,はんだ接着,エポキシグルー(銀ペーストの一種)など,物性値の変動が比較的低温のもので,ダイボンディングされたパッケージや,BGAなどの基板上のボンディングには適さず,使用範囲が限定されるというデメリットがある。
 また,ボンディング後,このような高温度下に長時間放置されると,熱によるAuとAlの相互拡散速度が速いため,Au-Al合金部の劣化(接合部信頼性低下)が心配される。


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