半導体用語集
物理吸着
英語表記:physisorption
一般に表面に到達した原子や分子が,表面に捕らえられる現象を吸着という。入射する原子や分子のエネルギーは基板温度に相当するエネルギーよりも大きいことが普通で,基板原子との相互作用の結果,表面フォノン励起や電子-正孔対生成によりエネルギーを失う(エネルギー散逸)。基板原子との衝突により十分エネルギーを失わない場合には,入射原子や分子は,基板に捕えられずに再び気相へ反射される(直接散乱)。この時,入射原子や分子の温度が基板温度と同じになる現象を熱適応と呼ぶ。熱適応して表面に吸着した原子や分子において,表面に捕えられるのが一時的で,再び気相中へ再放出される現象を脱離と呼ぶ。
表面に吸着した原子や分子は,一般的に,まず,比較的表面から遠い吸着位置で比較的小さな吸着エネルギーで捕獲される。これを物理吸着という。物理吸着においては,原子や分子と基板原子の間に化学結合が形成されていない。物理吸着は,原子間カ(ファン・デル・ワールス力)や電気双極子・電気四重極子などの静電気力による。物理吸着した原子や分子は,熱や電子・光照射によりある活性化エネルギー以上のエネルギーをえることができると基板原子と化学結合を形成することができ,比較的表面から近い位置で比較的大きな吸着エネルギーで捕獲され表面に取り込まれる。この状態を化学吸着という。化学吸着できない原子や分子は,平均の滞在時間の後,気相へ脱離する。表面に到達した原子や分子が化学吸着により表面に取り込まれる割合を付着係数という。
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