半導体用語集

環境耐性

英語表記:environmental stability

化学増幅レジストに特有の問題である。化学増幅レジストでは露光により少量の酸(~10ー6mol/cm3程度)を発生させて、これを触媒として露光後べーク(PEB;ポスト工クスポージャベーク)により反応を進行させている。発生した酸は外部環境に存在するアンモニアなどの塩基性物質により容易に失活し、反応が進行しなくなり、レジスト性能が損なわれる。酸失活はレジスト膜表層部で起こりやすく、ポジ型レジストにおいては、表層部に不溶化層を生じ、パターン上部が出っ張るT-top形状となり、さらに酸失活の程度がひどくなるとパターン上部が繋がり、ついにはパターン形成ができなくなってしまう。一方ネガ型レジストにおいては、架橋の程度が小さくなるため、パターン上部が溶解しやすくなり、上部が丸いパターン形状となる。このような環境からの影響の表われやすさの程度を環境耐性と呼んでいる。前記、レジスト工程で酸失活に最も関与しているのは露光から露光後べーク(PEB)までの待機時間 (PED;ポスト工クスポージャディレイ)である。通常、環境耐性は環境中の塩基物質 (特にアンモニア) 濃度を一定にした条件下で、パターン特性 (多くはパターン寸法) に影響を生じない待機時間 (PED; ポストエクスポージャディレイ) で表わされる。実際のプロセスでは環境の影響を最低限にするため、化学フィルタを用いてアンモニア濃度は1ppb以下に制御されており、 この状態でPEI)10分程度以上が必要とされている。こうした要求を満たすため、レジスト材料側では塩基性物質である酸抑制剤(quencher:クエンチャ)の添加、塩基性物質との反応性の小さい酸を発生する酸発生剤、ガラス転移点の高い樹脂を使うなどの工夫がなされている。


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