半導体用語集

ガラス転移点

英語表記:glass transition temperature

樹脂の変形などは、高分子鎖中のある数の単量体単位がまとまって運動すると考えられている。この運動単位はセグメントと呼ばれており、このセグメントの運動をミクロブラウン運動という。ミクロブラウン運動が始まる温度をガラス転移点(Tg)といい、比熱、膨張率、屈折率などの多くの物性が急激に変化する。ガラス転移点を決定する因子は、”自由体積"によるとも”配位工ントロピー"であるともいわれている。ガラス転移点はガラス転移温度、ガラス点、凍結温度、二次転移温度などともいわれる。無定形高分子の場合も比体積の温度変化によってガラス転移が観測され、ガラス転移点以下ではガラス状であるが、ガラス転移温度を超えると急激に軟化してゴム状となる。したがって、ガラス転移点以上の温度がレジストパターンに加わった場合、パターンフローを生じる。このため、レジスト樹脂には、レジストプロセス処理において変形しない程度のガラス転移点を持つ樹脂が必要である。また、ガラス転移点は一般にある分子量以下では分子量依存性がみられ、高分子量であるほど高いガラス転移を示す。このため、パターンフローを防止のために、熱あるいは光によりレジストパターンを処理し、架橋させて分子量を持ちあげて用いられることが多い。また、化学増幅レジストにおいてはガラス転移点の高い樹脂を用いて、酸の拡散を押えてレジストの環境耐性を性能を向上させることも試みられている。


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