半導体用語集

結晶強度

英語表記:strength of crystal

シリコン単結晶の強度特性は湿度により異なる。低温領域(500℃以下)では脆性を示し、100MPa以上の応力でへき開・破壊する。脆性破壊領域での結晶強度を破壊応力(fracture stress)という。高温領域(600℃以上)では、延性を示して塑性変形を起こして降伏現象を示し、この領域での強度が降伏応力(yield stress)であり、強度は高温ほど著しく低下する。これらの仲間は遷移領域で、強度は最大となるが、シリコン結晶のパイエルスカから計算される理想強度の13.7GPaに比べはるかに低い。
結晶強度の試験は一定温度・一定変形速度での引っ張りないし圧縮変形によって測定される。引っ張り試験(tensile test)で多数の基礎材料定数が求められてきたが、最近ではウェハから矩形に切り出した試料片で測定が可能な曲げ試験(bending test)よく用いられている。また応力の厳密な定量性はないが、ビッカース(Vickers)圧子やヌープ(Knoop)圧子を用いた押し込み試験により発生した転位のエッチピットがなすロゼットパターンの広がり測定も有用な試験法である。上記試験法はウェハのバルク部分の強度測定には有効だが、ウェハの表層に相当する領域に限定した評価は困難となる。表層に限定した試験法として、球圧子試験(ball indentation test)がある。球圧子試験は荷重の異なる研磨球をウェハ表面に乗せて温度を上げ転位がどの荷重で発生するか調べるもので、Heltzの接触応力との関係から転位発生応力を求めて各パターン周囲の転位発生と対応させ、転位発生応力を求める事ができる。半導体素子に近い試験法として、応力が既知の膜(Si3N4膜など)のパターン間隔を変化させた構造を半導体プロセスで形成し、膜エッジの応力を有限要素法で求めて各パターン周囲の転位発生応力を求める方法も報告例がある。


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