半導体用語集

置換型拡散

英語表記:substitutional diffusion

固体結晶中において不純物原子が、 結晶格子点に入り格子位置を占めながら拡散する場合を置換型拡散という。 Siにおけるドナー不純物およびアクセプタ不純物などのドーパントは、一般的にこのような形態で拡散する。現在、Si中のドーパントの拡散は、ドーパントが空格子点や自己格子間原子 (総称して点欠陥という)と相互に関連しながら置換拡散すると解釈されている。ドーパント原子の隣に空格子点がきた時のみ、ドーパント原子が移動する拡散機構を空格子点 (vacancy)機構という。また、自己格子間原子がドーパント原子の隣にきて、ドーパント原子と衝突して追い出す(kick-out)という形態を繰り返して拡散する場合を、 interstitialcy機構という。このように置換型拡散には、空格子点機構とinterstitialcy機構の2種類がある。それぞれの機構によるドーパント拡散の過程を図1に示した。実際の Si中のドーパント拡散では、空格子点機構とinterstitialcy機構の両方が同時に関与しており、全体の拡散係数におけるinterstitialcy機構の割合 (interstitialcy factor)は、ドーパントの種類により異なる。たとえば、ホウ素(B)はほぼ100%interstitialcy 機構、アンチモン(Sb)は逆にほぼ100%空格子点機構、またヒ素(As)は両方の機構がほぼ50 %として知られている。一般的にはSiにくらべ共有結合半径の小さいBやPは、interstitialcy機構で、また大きなSbは空格子点機構で拡散するといえる。


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