半導体用語集

活性化エネルギー

英語表記:activation energy

拡散係数Dの温度(T)依存性を表 わすアレニウスの式の中に含まれる定数の一つを活性化エネルギーといい、不純物原子がある平衡位置から別の位置へジャンプする過程において、ジャンプ前後のエネルギーの差に相当する。実際には、 log D対1/Tの直線の勾配から拡散の活性化エネルギーか 決められる。Si中において格子間型拡散によ,つて移動するAu, Feなどの深い不純物原子の拡散の活性化エネルギーの値は、leV程度であり比較的小さい。一方、置換型拡散によって拡散するドーパント原子(Al、B、P、As、 Sb)の拡散の活性化エネルギーの値は、大きくほぼ3~4eVの範囲にある。また、Si中におけるSiの自己拡散係数の値はまだ確定したものではないが、その活性化エネルギーの値は4~5eVであり、ドーパント原子の活性化エネルギーの方が約leVほど小さい。
ドーパント原子が空格子点機構で拡散する場合には,拡散の活性化エネルギーは空格子点の移動エネルギーHvと空格子点の形成Hvとの和で与えられる。ドーパント拡散とSi自己拡散とにおける活性化エネルギーの差は、ドーパント原子が拡散する際、空格子点と対を形成し、その結合エネルギーの値分だけ形成エネルギーが実質的に減少するためと解釈されている。しかし、Si中のドーパント拡散では、空格子点機構とともに自己格子間原子によって拡散するinterstitialcy機構も同時に存在することが知られており、自己格子間原子の移動エネルギー、形成エネルギーも含めて考える必要がある。実験的に決定されているドーパント拡散の活性化エネルギーの値と理論との対応はまだ明らかではない。なお、活性化エネルギーとドーパント原子の共有結合半径の間には、その半径が小さいほど活性化エネルギーも小さくなる傾向がみられる。これは、ドーパント原子の導入に伴う歪の影響が活性化エネルギーの大きさに関与していることを示唆している。


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