半導体用語集

表面フォノン

英語表記:surface phonon

 バルク結晶の原子は,有限温度においてその格子点を中心に熱振動している。この格子振動は量子化されていて,フォノンと呼ばれる。フォノンは振動モードにより2種類に分類される。一つは,隣り合った原子が同位相で振動する音響フォノンで,振動により格子歪を局所的に生じて,バンドギャップの変化を誘起する。バンドギャップ変化は,キャリアの散乱原因となる。もう一つは,隣り合った原子が逆位相で振動する光学フォノンで,化合物半導体では局所的な電界のゆらぎの原因になり,やはり,キャリアの散乱原因となる。
 フォノンの運動量とエネルギー(振動数)の関係については,電子の波数とエネルギーにおけるバンド構造のような関係(分散と呼ぶ)がなりたつ。バルク結晶の分散関係を表面と垂直方向に射影してえられる二次元分散関係で表わされる二次元運動量ベクトルとエネルギーで規定されるフォノンが存在できることは自明である。また,表面準位に対応するような表面フォノンはレイリー波と呼ばれ,その振幅は,表面から離れるに従い急激に(指数関数的に)減少する。
 シリコン,ゲルマニウム,ヒ化ガリウムGaAsなどのバルク結晶内部の室温における移動度では,格子振動による散乱(フォノン散乱,特に,光学フォノンによる散乱)が支配的である。表面散乱においてもフォノン散乱が重要であり,反転層中のフォノン散乱を正確に評価するためには表面フォノンの理解が重要である。


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